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超音波で脳活動を読み取り刺激するGestalaが半年で総額8,400万ドル調達

中国・上海と成都を拠点とするGestalaは、頭部へ超音波を当て、脳活動の計測と特定部位への刺激を行うブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)を開発する企業である。電極を脳へ埋め込まない医療機器を目指す。

同社は2026年8月26日、設立後の半年間に2回の資金調達を行い、総額5億7,000万元(約8,400万ドル)を確保したと発表した。3月のエンジェルラウンド1億5,000万元と、7月のエンジェルプラスラウンド4億2,000万元の合計である。

2回の資金調達と超音波BCIの一体開発

7月のラウンドにはHSG、Lens Technology、Sinovation Ventures、C Capitalなどが参加した。同社は成都で2026年6月、研究開発、医療機器の製造、臨床への展開を担う拠点と専用工場の第1期を稼働させた。上海拠点では基礎研究やAIモデル、医療機関との連携を進める。

同社は29人の科学者・技術者を年末までに約45人へ増やす計画である。最初の対象疾患を慢性疼痛とし、その後はうつ病、強迫性障害、脳卒中後のリハビリテーションなどを検討する。ただし、初号機は開発中であり、今回の資金調達は臨床効果や製品の安全性が実証されたことを意味しない。

当社メディアでも以前、超音波で認知症治療を目指すSound Wave Innovationと、血管内電極型BCIのSynchronを取り上げた。Gestalaは、超音波を治療刺激だけでなく脳活動の計測にも使い、両者を一つの機器へ統合しようとする点が異なる。

脳血流の計測と集束超音波による刺激の組み合わせ

脳活動を読み取る機能的超音波イメージングは、神経細胞の電気信号を直接捉えるのではなく、活動に伴って変わる脳内の血流を測る。短い間隔で超音波を送り、血球から返る信号をドップラー法で解析することで、どの領域の血液量や流速が変化したかを画像にする。局所の電極より広い範囲を観察できる可能性がある一方、血流反応には時間差がある。

刺激側では、複数の超音波を狙った位置で重ねる集束超音波を使う。頭蓋骨の外から脳深部へ音響エネルギーを届け、神経回路の働きを変えることを目指す。切開を伴わないが、頭蓋骨の厚さや形は人ごとに異なり、超音波が減衰、散乱、屈折する。照射位置と強度を個人に合わせて補正し、再現性と長期的な安全性を示す必要がある。

同社は、血流、電気信号、医療画像、行動データの関係を学習する「脳基盤モデル」も開発する。計測結果から意図や状態を推定し、その結果を刺激条件へ戻す仕組みを構想している。ただし、「全脳の読み書き」は長期目標であり、現時点で実現した機能ではない。動物研究でも頭蓋骨を通す超音波による熱や広範な血流変化が報告されており、神経への作用と血管・熱の影響を分けて検証することが重要となる。


年内の初号機発表と慢性疼痛での臨床準備

同社は2026年末までに、初代の超音波BCI機器と脳基盤モデルを発表する計画である。その後に臨床試験と医療機器登録へ進む。シンガポールまたは香港への海外拠点設置も検討するが、日本での承認申請や事業展開、日本企業による出資・提携は公表されていない。

共同創業者兼CEOのPhoenix Peng氏は、BCI、超音波、AI、生命科学は人間の知能を理解するための異なる道であり、同社が研究する対象は「人間の知能そのもの」だと説明した。まず慢性疼痛で、安全な照射と再現可能な計測、治療効果を示せるかが事業化の焦点となる。


参考文献:

※1:Gestalaによる半年間・総額8,400万ドルの資金調達発表(リンク

※2:Gestala公式サイト(リンク

※3:Gestalaによる超音波BCIの研究・技術紹介(リンク

※4:集束超音波と機能的超音波による脳血流変化を検討したScientific Reports掲載論文(リンク

※5:当社メディア「『超音波』でアルツハイマーを治療する日本発Sound Wave Innovationが26.5億円調達」(リンク

※6:当社メディア「ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)を開発するSynchronはシリーズDで2億ドルの調達を発表」(リンク



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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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