物流向け自動運転トラックを開発するGatikが2億ドル調達 いすゞと量産へ
米国カリフォルニア州のGatikは、物流センターや倉庫、店舗の間で荷物を運ぶ自動運転トラックを開発・運行する2017年設立の企業である。長距離輸送や個人宅への配送ではなく、企業が日常的に使う比較的短い区間へ対象を絞る。
同社は2026年8月25日、シリーズDで2億ドルを調達した。Qatar Investment AuthorityとKoch Disruptive Technologiesが共同主導し、ARK Investなどが参加した。資金は北米の無人運行車両と顧客ネットワークの拡大に充てる。
物流センターと店舗を結ぶ定期便から始める無人配送
同社が狙うのは、物流センターから店舗まで商品を補充する高頻度の企業間輸送である。走行区間と荷物の受け渡し場所を限定し、同じ地域内の道路を繰り返し走ることで、あらゆる道路へ対応する自動運転よりも検証範囲を絞りやすい。需要や集荷時間の変化に応じて経路を組み替え、高速道路と一般道の双方を走る。
同社によれば、完全無人で8万5,000件の配送を終え、定時到着率は99%、契約済み売上は6億ドルを超えた。現在は北米で数十台を運行し、今後は数千台への拡大を計画する。ただし、これらは同社公表値であり、地域や顧客を増やしても安全性と運用品質を維持できるかが焦点となる。
当社メディアでも2021年、同社のシリーズB調達といすゞとの協業を取り上げた。当時は安全監視員が乗る走行が中心だったが、現在は無人運行へ進んでいる。いすゞは2024年に3,000万ドルを出資し、2027年から専用ラインでレベル4対応車を生産する計画である。同年に出資した伊藤忠商事も、北米で持つ商用車の卸売・販売金融と同社の技術を組み合わせ、物流サービスの拡大を目指す。
複数センサーと仮想道路で確かめる自動運転の安全性
車両はカメラ、LiDAR、レーダーなど、性質の異なるセンサーで周囲を捉える。カメラは信号や道路標示、LiDARは物体までの距離と立体形状、レーダーは相対速度の把握に向く。複数の観測結果をAIが重ね、車両や歩行者の動きを予測し、進路、速度、停止位置を決める。
判断結果は操舵、加速、制動へ送られる。人が乗らない運行に備え、いすゞと開発する車両ではブレーキ、操舵、センサー、制御ソフトを冗長化する。一部に故障が起きても別系統で安全な状態へ移れる構成とし、既存車両を後から改造するのではなく、生産段階から無人運行を前提に設計する。
公道だけでは再現しにくい豪雨、逆光、急な飛び出しなどは、現実の道路を再現した仮想環境でも検証する。実走行で集めたカメラ、LiDAR、レーダーのデータから道路と交通を立体的に再構築し、天候や車両の動きを変えてAIへ入力する。危険な条件を繰り返し試し、実車へ反映する仕組みである。
いすゞとの2027年量産と北米での車両拡大
同社は今回の資金で、現在の数十台から数千台規模への拡大を目指す。2027年には、いすゞが整備する専用ラインから量産車を顧客へ納入する計画である。伊藤忠商事とNIPPON EXPRESSホールディングスも2024年に同社へ出資しており、日本企業との接点は資本、車両生産、物流の各面に広がる。
共同創業者兼CEOのGautam Narang氏は、実際の売上と顧客需要、日々の物流で検証した技術を基に、迅速かつ規律を保って事業を拡大すると説明した。KDTのByron Knight氏も、自動運転が有望な技術から実際の商用運行へ移った点を評価する。日本での運行計画は公表されておらず、まずは北米で量産性を示せるかが焦点である。
参考文献:
※1:Gatikによる2億ドル調達の公式発表(リンク)
※2:同社HP(リンク)
※3:同社といすゞによる量産計画(リンク)
※4:伊藤忠商事によるGatikへの出資発表(リンク)
※5:NIPPON EXPRESSホールディングスによるGatikへの出資発表(リンク)
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