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ミリ波掘削で超高温地熱発電を開発するQuaise EnergyがシリーズB総額1.8億ドルを確保

米国ヒューストンのQuaise Energyは、ミリ波で地下深部の硬い岩盤を溶融・蒸発させ、超高温の地熱資源へ到達する掘削技術を開発する企業である。従来の地熱発電が難しかった地域でも、安定して発電できる地熱資源の利用を目指す。

同社は2026年8月27日、シリーズBの最終クローズを発表し、ラウンド総額を1億8,000万ドルとした。陸上掘削大手Nabors Industriesが3,500万ドルを出資し、累計調達額は2億8,000万ドルとなった。資金は掘削技術の商用化と、オレゴン州の地熱発電所建設に充てる。

Naborsを最大株主に迎える掘削・商用開発の一体化

今回の発表は、新たに1億8,000万ドルを調達したものではない。当社メディアでも以前、シリーズBの初回クローズで1億3,400万ドルを調達した際に取り上げた。今回は同ラウンドへ4,600万ドルが加わり、総額が1億8,000万ドルとなった形である。

追加分の中心は、Naborsによる3,500万ドルの戦略出資である。出資はNaborsが自社普通株約39万2,000株を発行する形で行われ、同社は完全希薄化後で持分14%の最大株主となった。両社は掘削サービスの優先的な提供に加え、掘削装置への技術統合、坑井設計、自動化、現場運用、海外案件の開発まで共同で検討する。

初回クローズにはPrelude Venturesのほか、JERAと出光興産が戦略投資家として参加した。今回、日本企業による追加出資は発表されていないが、両社はシリーズBの投資家として引き続き関係を持つ。資金提供に掘削装置と現場運用の能力が加わり、技術実証から発電所建設へ移る体制が具体化した点が今回の変化である。


地上のジャイロトロンから電磁波を送る非接触掘削

同社の掘削システムは、地上に置いた「ジャイロトロン」で高出力のミリ波を発生させ、金属製の導波管を通じて地下へ送る。ミリ波のエネルギーで花崗岩などを加熱し、剥離、溶融、蒸発させる。発生した岩石の微粒子はガスで地上へ運び、坑壁表面をガラス状に固める構成である。

浅い地層は一般的な回転式ドリルで掘り、硬い基盤岩へ到達した後にミリ波へ切り替える。高温環境へドリルビットやモーターなどの複雑な機械部品を置かずに済むため、摩耗や交換による停止を減らす狙いがある。Naborsの掘削装置へミリ波システムを組み込むことで、既存の石油・ガス向け設備や作業手順を活用する。

同社は2025年、テキサス州の試験場で花崗岩を118m掘削し、2026年には深度1kmを目指している。長期的には深度3~20km、温度300~500℃の岩盤への到達を掲げる。ただし、商用発電に必要な5km超とはなお距離があり、掘削速度、エネルギー消費、坑壁の安定性を深度とともに維持できるかは今後の検証課題である。

50MWの実証から最大1GW規模への拡張

オレゴン州のProject Obsidianでは、NaborsのPACE-B掘削装置で坑井を建設している。第1段階は50MW、第2段階は250MW、将来は1GW超へ広げる構想である。2030年の商用運転を目指すが、最初の確認井は従来方式で掘削しており、ミリ波による商用規模の坑井はこれから実証する。

CEO兼PresidentのCarlos Araque氏は、Naborsを重要なパートナーと位置付け、Project Obsidianでミリ波掘削を商用運用へ移すと説明した。Nabors会長兼CEOのAnthony Petrello氏も、両社の技術と現場能力を組み合わせる意義を強調する。

今後は掘削距離だけでなく、坑井当たりの発電量、建設費、稼働率を含めて商用性を示せるかが焦点である。


参考文献:

※1:Quaise EnergyによるシリーズB最終クローズの発表(リンク

※2:Nabors Industriesによる3,500万ドルの出資と戦略提携の発表(リンク

※3:Quaise Energyによるミリ波掘削技術の説明(リンク

※4:当社メディア「ミリ波掘削で超高温地熱を商用化するQuaise Energyが1億3,400万ドル調達」(リンク



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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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