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ヒューマノイドを開発するXPENG Roboticsが9億ドル超調達 2026年末の量産へ

中国・広州のXPENG(小鵬集団)傘下でロボット事業を担うXPENG Roboticsは、人と同じ空間で働く人型ロボットを開発する企業である。同社は、人に近い体の構造とAIを組み合わせた「IRON」を、店舗案内や施設内の業務、工場の点検などへ展開する。

同社は2026年8月24日、ロボット事業として初の資金調達ラウンドで9億ドル超を確保すると発表した。投資後の評価額は63億ドル超で、IDG Capitalが主導し、Gaorong Ventures、Tencent、Alibabaが参加する。資金はAIと機体の開発、学習データの収集、量産設備、海外展開に充てる。

EVで培った量産基盤を人型ロボットへ移す資金調達

発表された9億ドルは、外部投資家による6億ドル、XPENGグループによる2億ドル、経営陣による1億ドルの出資で構成される。外部資金だけを指す金額ではない点には注意が必要である。取引完了後もXPENGは同社株式の約82%を保有し、連結子会社として経営権を維持する予定である。

資金投入の中心は、試作機の改良だけでなく、人型ロボットを繰り返し生産する設備と供給網の整備である。自動車で培った部品調達、品質管理、工場運営をロボットへ移し、IRONを2026年末までに量産段階へ進める。まずXPENGの店舗や社内施設で使い、2027年に中国と海外で販売・納入を始める計画である。

当社メディアでも2021年、同社が開発していた家庭向け四足歩行ロボットを取り上げた。当時は人との交流を重視した試作段階だったが、現在は人型の機体、独自AIチップ、量産設備を一体で整え、店舗や工場で実務を担うロボットへ軸足を移している。

視覚から動作までを直接つなぐ機体設計

同社のAIは、カメラなどが捉えた周囲の状況から、歩く、手を伸ばす、物を扱うといった動作を生成する。3基の自社製Turing AIチップを搭載し、最大2,250TOPSの演算性能を機体上で確保する。遠隔操作に頼らず判断できる設計により、通信の遅れを抑え、映像などのデータを外部へ送らず処理することを目指す。

機体は全身に76の可動部分を持ち、片手だけで21の可動部分を備える。柔軟な格子状の外装で内部機構を覆い、人が使う通路や設備の中で動きやすい形にした。チップ、制御装置、関節を動かす部品、手の機構までを自社設計し、自動車向けの品質管理と組み合わせて安全性と量産性を高める考えである。

人に近い体形は、人間の作業映像や実演データを学習へ使いやすくする狙いもある。店舗や工場へ配備した機体からデータを集め、AIを改善し、対応できる仕事を増やす循環を構築する。ただし、自律作業の成功率や連続稼働時間、安全停止の基準は公表されておらず、量産後の実環境で検証が必要である。

2026年末の量産と2027年の海外展開

同社は、2026年末までにIRONの量産を始め、店舗や社内施設で運用経験を積む。2027年には中国と海外で正式に販売・納入する方針である。鉄鋼大手Baosteelとは工場点検などの用途を検討しており、案内業務以外で安定して働けるかが商用化の焦点となる。

XPENG会長兼CEOのHe Xiaopeng氏は、今回の資金でロボット事業の成長と人材採用を加速し、IRONを仕事や生活に入る信頼できる存在にしたいと述べた。IDG Capitalも、人型ロボット市場が技術実証から量産・商用化へ移る局面にあると評価する。

日本企業による出資や提携、日本での発売計画は確認できなかった。発表は2027年の海外納入を掲げるものの対象国は示しておらず、日本展開は今後の発表を待つ必要がある。


参考文献:

※1:XPENGによる資金調達の公式発表(リンク

※2:XPENGによるIRONとAI技術の公式発表(リンク

※3:同社HP「XPENG AI Robot – IRON」(リンク



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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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