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人型ロボットを開発するUnitree RoboticsがIPOで約9億ドル調達 GMOが国内正規代理店

中国・杭州のUnitree Robotics(宇樹科技)は、四足歩行ロボットと人型ロボットを開発・製造する2016年設立の企業である。モーターや駆動装置、制御システムを自社開発し、研究用途から点検、物流、接客までを対象に機体を展開する。

同社は2026年8月14日、上海証券取引所の科創板への新規株式公開(IPO)の発行結果を公表した。1株150.80元で約4,045万株を新規発行し、調達総額は約61億元(約9億ドル)となる。株式コードは688836で、既存株主による売り出しはない。

四足型から人型へ広がる事業と量産投資

同社は四足歩行ロボットで事業基盤を築いたが、売上構成は急速に変わっている。2023年には四足型が売上高の75.78%、人型が1.88%であった。2025年には人型ロボットの売上高が8.68億元となり、全体の51.78%を占める最大事業へ成長した。同社資料では、同年の人型ロボット出荷は5,500台を超えたとしている。

IPO資金は、ロボット向けAIモデルの研究開発に20.22億元、機体開発に11.10億元、新製品開発に4.45億元、製造拠点の整備に6.24億元を充てる計画である。ソフトウェアだけでなく、関節や機体、工場へ同時に投資する構成であり、研究・実証用の販売から、一定品質の機体を継続生産する段階への移行が焦点となる。

日本では2026年6月、GMO AI&ロボティクス商事が同社と国内正規代理店契約を結んだ。GMOは機体販売に加え、動作開発、導入支援、保守、通信の安全対策までを提供する。当社メディアでも以前、中国発ヒューマノイドの動向を特集し、同社のH1とG1を紹介した。今回のIPOは、そこで取り上げた量産構想を資本市場から支える動きである。

空間認識と関節制御を組み合わせる全身運動技術

人型ロボットが歩行や作業を行うには、周囲の形状を捉え、姿勢を保ちながら多数の関節を同時に動かす必要がある。同社のG1とH1は3D LiDARと深度カメラを搭載し、物体までの距離や床面の凹凸を三次元データとして取得する。搭載コンピューターはその情報を処理し、足を置く位置や進行方向の判断に使う。

動作を生み出す関節には、応答性と放熱性を重視した低慣性の永久磁石同期モーターを採用する。G1は構成に応じて23〜43の関節自由度を備え、二重エンコーダーで関節角度を測る。位置だけでなく加える力も調整する制御により、転倒を避ける姿勢補正や、物体を強く握りすぎない手先操作につなげる。

歩行や全身動作の習得には、模倣学習と強化学習を用いる。人の動きを学習データへ変換したり、シミュレーション内で転倒と回復を繰り返したりして制御方策を作り、実機へ移す仕組みである。ただし、公開映像で示される運動性能が、そのまま未知の現場での自律作業を意味するわけではない。用途ごとの学習、安全設計、周辺システムとの接続が必要となる。

AI開発と製造拠点を拡大、日本での導入も本格化

同社は調達資金を使い、ロボットが現実空間を理解して行動するためのAIモデル、機体、新製品、製造設備を並行して強化する。戦略投資家には中国AI企業DeepSeekも名を連ねており、AIモデルとロボット本体の接続が今後の開発軸となる。一方、量産後も稼働率や保守費用、安全性を実環境で検証する必要がある。

GMOインターネットグループCEOの熊谷正寿氏は、AIはロボットという身体を得ることで現実社会を変える力を発揮すると説明した。GMOは羽田空港でJALグランドサービスと人型ロボットの実証にも取り組んでおり、国内販売網の整備によって、Unitree製ロボットを日本の物流、製造、施設管理へ導入できるかが注目される。


参考文献:

※1:宇樹科技:IPO発行結果公告( リンク

※2:同社HP( リンク

※3:進展著しい中国発ヒューマノイド、マルチモーダルAIの進化が支える|2025年上半期の各社状況( リンク


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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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