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ロボット向け省電力AI半導体を開発するSiMa.aiが1.5億ドル調達 マクニカ・富士ソフトと連携

米国カリフォルニア州のSiMa.aiは、ロボット、ドローン、自動車、産業機器の内部で画像認識や生成AIを処理する半導体と開発ソフトウェアを手掛ける企業である。クラウドとの常時通信に頼らず、機器の近くで低遅延かつ省電力にAIを動かすことを狙う。

同社は2026年9月28日、シリーズCで1億5,000万ドルを調達した。Fidelity Management & Research CompanyとAmplifyが共同主導し、累計調達額は5億ドル、評価額は14億5,000万ドルとなった。資金は開発環境の拡張と次世代半導体に充てる。

通信遅延と消費電力を抑える機器内AI

ロボットやドローンは、カメラなどのセンサーから入る情報を基に、周囲の物体や人を短時間で認識する必要がある。データをクラウドへ送り、結果を受け取る構成では、通信の遅れや切断、送信量が課題となる。搭載可能な電力や冷却能力も限られるため、データセンター向けGPUをそのまま使いにくい。

同社はAI演算、画像処理、機器制御を一つの半導体へまとめ、センサーの近くで処理を完結させる。外部のCPUや演算装置を組み合わせる部品点数を減らし、消費電力、装置サイズ、開発負担を抑える狙いである。既存の画像認識モデルから大規模言語モデルや画像・文章を扱うモデルまで、同じ基盤での実行を目指す。

公式発表によれば、同社の売上高は2024年から2025年に4倍となったが、金額や出荷数は開示されていない。日本ではマクニカ テクスターカンパニーが販売を担い、富士ソフトが組み込みシステムへの導入を支援する。半導体単体ではなく、日本企業が既存製品へ組み込む工程まで用意している点が事業拡大の土台となる。

AI演算と画像処理を1チップにまとめる省電力設計

中核となるMLSoCは、一般的なプログラムを動かすArm CPU、カメラ映像を整える画像処理回路、ニューラルネットワークの計算に特化した演算器を一つに集積する。制御、前処理、AI推論を別々の半導体へ渡す回数を減らし、データ移動に伴う待ち時間と電力消費を抑える構成である。

開発ソフトウェア「Palette」は、一般的なONNX形式の学習済みモデルを読み込み、演算精度の調整、計算の分割、メモリー配置を自動化する。コンパイラーが各処理をどの回路で、どの順序で実行するかを事前に決める「静的スケジューリング」を使い、演算器がデータ待ちで止まる時間を減らす。

これにより、映像の物体検出や機械の異常監視を端末内で実行し、必要な結果だけを外部へ送れる。応答時間と通信量を抑え、回線が不安定な場所でも動作を続けやすい。一方、実際の性能や消費電力はモデル、入力データ、精度設定によって変わり、同社が示す効率がすべての用途で得られるわけではない。

次世代半導体と日本市場での導入拡大

同社は2028年上期を目標に、最大1,000 dense TOPSの演算性能を掲げる次世代製品を投入する計画である。半導体IP、複数の小さな半導体を組み合わせるチップレット、完成品のSoCを展開し、人型ロボット、中大型ドローン、運転支援、車載コックピットへの採用を広げる。これは将来計画であり、現時点の量産実績ではない。

創業者兼CEOのKrishna Rangasayee氏は、今回の資金で専用プラットフォームの規模を拡大すると説明した。StepStone GroupのJohn Avirett氏も、実環境でAIを広げるには演算性能だけでなく、省電力性と限られた機器内への統合が必要だと評価する。日本では販売・組み込み支援の体制を、実際の量産採用へ結び付けられるかが焦点となる。


参考文献:

※1:SiMa.aiによる1億5,000万ドルのシリーズC調達発表(リンク)

※2:同社技術説明(リンク)

※3:SiMa.aiと日本企業の提携発表(マクニカ/富士ソフト)


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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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