指輪で睡眠や心拍を測るOuraがIPO開始 最大5億9,400万ドルを調達へ
フィンランド発のOuraは、指に着けて睡眠、心拍数、体温の変化、活動量などを継続計測するスマートリングと健康管理サービスを提供する企業である。計測結果をアプリで分析し、睡眠の質や体の回復度、ストレスの傾向として利用者へ示す。
同社は2026年9月21日、米国で新規株式公開(IPO)を開始した。想定価格は1株40~44ドルで、同社が発行する1,350万株による調達額は最大5億9,400万ドルとなる。Nasdaqへの上場を申請しており、銘柄コードは「OURA」である。
9億ドル調達から黒字化を経て上場へ
今回売り出す5,000万株のうち、3,650万株は既存株主が保有する株式である。上限価格で計算した公募全体の規模は22億ドルだが、同社は既存株主の売却分を受け取らない。企業へ入る新規資金と株主の換金を分けて見る必要がある。
当社メディアでも2025年10月、同社による9億ドルの資金調達を取り上げた。その後、有料会員は2026年6月末時点で500万人へ増加した。同年6月までの9カ月間の売上高は前年同期比74%増の12億1,450万ドル、純利益は6,080万ドルである。
売上高の約80%はリング本体、約20%は会費が占める。リングの販売で利用者を獲得し、アプリの継続課金で収益を積み上げる構造であり、同期間の会費収入は前年同期比121%増の2億4,050万ドルとなった。ウェアラブル機器の販売企業から、継続的な健康サービスを提供する企業へ移行できるかが上場後の評価軸となる。
リング内側のセンサーで光・温度・動きを連続計測
心拍の計測には、リング内側から指の皮膚へ光を当て、血液量の変化によって反射光が変わる「光電式容積脈波測定」を使う。緑色と赤外線のLEDで心拍数や心拍変動、呼吸数を捉え、赤色と赤外線の光の吸収差から血中酸素の傾向を推定する。指の皮膚に近い微小血管から信号を得るため、手首型機器とは測定位置が異なる。
さらに、デジタル温度センサーが個人ごとの平常時からの変化を追い、加速度センサーが体の動きや活動を記録する。複数の信号を時間軸上で組み合わせ、深い睡眠やレム睡眠、安静時心拍、回復状態などを推定する仕組みである。単発の測定値ではなく、本人の基準値からのずれを継続的に見る点に特徴がある。
2026年5月発売のOura Ring 5は、前世代より本体を40%小型化しながら、指との接触を保つ低いセンサー突起と12本の信号経路を採用した。幅6.09mm、厚さ2.28mmで、電池は利用条件により6~9日持続する。日常的な装着を促す設計である一方、同製品は医療機器ではなく、病気の診断や治療を目的としたものではない。
会員基盤の拡大と医療との境界管理
目論見書では、想定価格帯の中間値で計算した手取り額を約5億3,260万ドルと見込む。このうち約5億2,640万ドルは、IPOに伴って権利確定する譲渡制限付き株式ユニットの税金支払いに充てる予定である。残額を技術開発、運転資金、設備投資などに使うため、今回のIPOは全額が成長投資へ向かう資金調達ではない。
CEOのTom Hale氏は、リングを小さく装着しやすくし、高度なソフトウェアと組み合わせることで、より多くの人が毎日使い、個人に合った予測的な健康情報を得られるようにすると説明した。会員基盤を広げつつ、医療的な判断との線引き、計測精度、機微な健康データの保護を維持できるかが今後の焦点となる。
参考文献:
※1:Ouraによる新規株式公開の開始発表(リンク)
※2:OuraのIPO条件、業績、会員数、資金使途を記載したSEC提出資料(リンク)
※3:Oura Ring 5の小型化、センサー設計、CEOコメントに関する公式発表(リンク)
※4:Oura Ring 5のセンサー、寸法、電池仕様に関する公式製品ページ(リンク)
※5:Oura Ringによる睡眠段階推定を検証したSensors掲載論文(リンク)
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