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CO2回収型の高効率バイオガス発電設備を開発するReverionが1.75億ドル調達

ドイツ南部エレージングのReverionは、バイオガス、天然ガス、水素から電力をつくるコンテナ型発電設備を開発する2022年設立の企業である。ミュンヘン工科大学から独立し、同じ設備を逆方向に動かして、余剰電力から水素や合成メタンをつくる技術も持つ。

同社は2026年9月29日、シリーズBで1億7,500万ドルを調達した。欧州のディープテック投資ファンドKembaraが主導し、Allianz、KfW Capital、Aurum Impact、Carbon Equityなどが参加した。資金の大半をドイツの新工場へ投じ、年間生産能力を250MWへ拡大する。

7基の商用運転から年産250MWの量産体制へ

同社の発表によると、500kW級の設備7基が顧客拠点で通常運転に入っている。先行量産機をバーデン・ヴュルテンベルク州のバイオガス施設で運転した際には、投入したガスのエネルギーの74.2%を電力へ変換したという。これは特定設備で得た同社公表値であり、異なる燃料や運転条件でも同じ効率になるとは限らない。

既存のバイオガス施設では、ガスエンジンを使って発電する構成が一般的である。同社は燃焼を伴わない電気化学反応へ置き換えることで、同じ量のバイオマスから得られる電力を増やす。同じ燃料から得られる電力を増やせる可能性に加え、電力価格が安い時間帯には設備を逆運転し、水素やメタンとしてエネルギーを蓄えられることが導入側の利点となる。

日本との接点では、Hondaが2024年のシリーズAへ出資している。ただし、今回発表されたシリーズBの参加企業には含まれておらず、日本国内での製造や導入計画も公表されていない。当社メディアでも以前、産業副生ガスから水素をつくるUtility Globalを取り上げた。Reverionは水素製造だけでなく、発電、ガス製造、CO2回収を一つの設備で切り替える点が異なる。

ガスから電力へ、余剰電力からガスへ切り替える仕組み

中核となる固体酸化物形燃料電池は、セラミック製の電解質を二つの電極で挟んだ構造を持つ。約600~750℃に保ったセルへ燃料ガスと空気を別々に送り、電解質を通る酸化物イオンと燃料を反応させて電気を取り出す。ガスを燃やして熱から発電するのではなく、化学エネルギーを直接電気へ変えるため、高い発電効率を狙える。

電力が余ると、同じセルへ外部から電気を加え、固体酸化物形電解セルとして逆運転する。水蒸気などを電気分解して水素をつくるほか、同社のシステムでは回収したCO2と組み合わせて合成メタンも製造できる。発電とガス製造の切り替え時間は1分未満としており、天候によって変動する風力・太陽光発電の調整にも使える設計である。

バイオガスを使う場合、発電後に生じる生物由来のCO2を高純度で分離できる。このCO2を恒久的に貯留すれば、運転時の炭素収支をマイナスにできるという。製品として利用する場合は、最終的な放出まで含めた評価が必要である。天然ガスを使う場合やCO2を大気へ戻す場合は同じ評価にならない。高温セルの耐久性、保守費用、CO2の輸送・貯留を含めた経済性は、量産後に確認すべき項目である。

新工場とメガワット級設備への拡大

同社は新工場の建設により、生産能力を現在の約10倍となる年間250MWへ引き上げ、最大800人を新たに雇用する計画である。設備を現在の500kW級からメガワット級へ大型化し、農業施設や産業拠点に加えて、継続的に大電力を必要とするデータセンターへの展開も進める。

共同創業者兼CEOのStephan Herrmann氏は、今回の調達を工業規模の量産とメガワット級製品へ進む基盤と位置づけた。KembaraのRobert Trezona氏も、高効率と炭素排出削減を両立できる電源として、データセンター市場での成長を評価する。今後は同社が示す20億ドル超の案件候補を、量産設備の納入と継続的な売上へ変えられるかが焦点となる。


参考文献:

※1:Reverionによる1億7,500万ドルのシリーズB調達発表(リンク)

※2:Reverionによる可逆型燃料電池とCO2回収の技術説明(リンク)/74.2%の発電効率に関する発表(リンク)

※3:ミュンヘン工科大学によるバイオガス対応固体酸化物形燃料電池の研究論文(リンク)

※4:ミュンヘン工科大学による技術開発の経緯と実証結果(リンク)

※5:Hondaが参加した2024年のシリーズAに関するReverionの発表(リンク)


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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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