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ドローンで既存の雲から雨や雪を増やすRainmakerが1億ドル調達

米国カリフォルニア州のRainmaker Technology Corporationは、低温の雲へドローンを飛ばし、雨や雪の量を増やすクラウドシーディング技術を開発する企業である。気象予測、耐着氷ドローン、レーダーによる効果測定を一体化し、渇水地域へ追加の水を供給する。

同社は2026年9月21日、シリーズBで1億ドルを調達した。NOA VC、Upfront Ventures、DCVC、Lowercarbon Capital、Dream Venturesなどが出資した。資金は大気科学の研究者採用、観測・解析技術の改良、大学や国立研究所との研究拡大に充てる。

飛行機に代わるドローンと「降水量が本当に増えたか」検証

クラウドシーディングは1940年代から使われてきたが、自然に降った雨や雪と、人為的に増えた分を区別しにくいことが商用化の壁だった。同社は有人飛行機より小型で並行運用しやすいドローンを雲へ送り、散布位置と時刻を記録する。飛行後はレーダーと衛星を使い、散布に続いて現れた降水域を追跡する。

同社によると、2026年の4カ月間に米国西部で1億4,500万ガロン超の追加降水を確認した。8月のアラスカ実験では、3時間の飛行で平均57.6エーカーフィート、約1,900万ガロンの雨を増やしたと推定する。ただし、この数値は同社の解析結果であり、査読や独立機関による再検証を経た実績とは分けて見る必要がある。

当社メディアでも以前、空気の冷却や吸着材によって水を取り出す技術を取り上げた。これらが装置内で水蒸気を回収するのに対し、Rainmakerは既に存在する雲の中で氷晶の形成を促し、流域全体の雪や雨を増やす。農業、自治体、発電などへ供給できる水量を、設備を増設しながら広げる事業モデルである。

過冷却の水滴を氷晶へ変え、レーダーで効果を追う仕組み

対象は、氷点下でも液体のまま残る「過冷却水滴」を含む雲である。ドローンから放出するヨウ化銀の微粒子は、氷に似た結晶構造を持ち、氷晶が育つ足場として働く。周囲の水蒸気や水滴を取り込んだ氷晶が重くなると、雪として落下し、暖かい層を通れば雨になる。晴天から雲を作る技術ではない。

同社のドローンは、高度1万5,000フィートまで、最長60分間飛行し、氷点下20度や強い着氷環境へ対応するとしている。搭載センサーで温度や湿度などを測り、予測システムが散布に適した時間と位置を選ぶ。自然に氷が生じにくく、ヨウ化銀が働きやすい温度帯へ正確に粒子を届ける設計である。

効果測定では、Xバンドレーダーに米国のNEXRAD気象レーダーや気象衛星のデータを重ねる。散布地点から風下へ伸びる反射域を時間ごとに追い、反射強度から降水量を推定する。2020年の査読論文でも同様の手法により、3事例でヨウ化銀散布に由来する降雪が地表へ達したことが示されたが、雲の条件による効果のばらつきは残る。


水供給コストの低減と気象研究組織の拡大

同社は2026年11月から2027年4月のシーズンに、1エーカーフィート当たりの社内コストを、淡水化や農地の休耕など他の追加水源より低くする目標を掲げる。現在のユタ、アイダホ、オレゴン、カリフォルニア、コロラドでの運用を基盤に、複数のドローンチームを並行投入する方針である。

創業者兼CEOのAugustus Doricko氏は、水が農業、生態系、地域社会、産業を制約しない状態を目指し、今回の資金で大気データの収集と研究組織を拡大すると説明した。事業化には、異なる気象条件で効果を再現できるかに加え、環境影響の継続監視、地域ごとの許認可、住民への透明な説明が重要となる。日本企業との出資・提携は公表されていない。


参考文献:

※1:Rainmaker「Announcing Rainmaker’s $100M Series B」(リンク)

※2:Rainmaker「Cloud Seeding Technology」(リンク)

※3:Rainmaker「Validation Report: Drone-Based, Glaciogenic Cloud Seeding in the Kenai Peninsula」(リンク)

※4:PNAS「Quantifying snowfall from orographic cloud seeding」(リンク)


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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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