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人工衛星を宇宙から撮影・点検するHEOが2,500万ドル調達

オーストラリア・シドニーのHEOは、軌道上のカメラで別の人工衛星やロケット残骸を撮影し、機体の状態や動きを分析する2016年設立の宇宙技術企業である。地上からの観測では捉えにくい形状、姿勢、太陽電池パネルの展開状況などを画像で確認する。

同社は2026年9月21日、シリーズBで2,500万ドルを調達した。Beaten Zone Venture Partnersが主導し、豪州のNational Reconstruction Fund、Dcode Capital、Wunala Capitalなどが参加した。資金は静止軌道向けセンサー、衛星運用企業との提携、画像解析ソフトの開発に充てる。

位置だけでなく機体の状態まで確かめる衛星点検網

地上のレーダーや望遠鏡は、軌道上の物体がどこにあり、どちらへ移動するかを調べるのに適している。一方、遠距離からの観測では、太陽電池パネルやアンテナが正しく展開しているか、外形が変化していないかを判別しにくい。同社は宇宙から対象を撮影し、運用者が自機の異常や周囲の物体の特徴を視覚的に確かめられるようにする。

同社は既存の地球観測衛星と自社製カメラを組み合わせ、50基を超えるセンサーへアクセスできる撮影網を構築した。自社カメラは8基を投入済みで、売上高は前年の3倍に伸びたとしている。今回の資金で静止軌道向けの打ち上げを2回行い、2027年に繰り返し撮影できる体制を整える計画である。

日本では2026年4月に東京拠点を開設し、日本の防衛省への支援実績も公表している。Astroscaleとは低軌道から静止軌道までの点検・軌道上サービスで3年間協力し、Axelspaceの地球観測衛星5基も撮影網へ組み込む。当社メディアでも以前、スペースデブリの除去技術を取り上げた。HEOは対象へ接近・回収する前に、形状や回転状態を調べる役割を担う。

すれ違う衛星を利用した軌道上撮影

基本となる「フライバイ撮影」では、観測側の衛星が通常の軌道を飛び続け、別の人工衛星と自然に接近する機会を利用する。ソフトウェアが双方の軌道、距離、相対速度、太陽光の向きを計算し、撮影可能な短い時間帯を選ぶ。対象ごとに専用の点検衛星を打ち上げたり、燃料を使って接近したりせず、多数の物体を観測できる。

静止軌道向けのカメラは、口径194mmの光学系で光を集め、100km先を1画素当たり22cmの細かさで撮影する設計である。毎秒最大100枚を連続撮影して相対運動によるぶれを抑え、複数画像から鮮明な部分を選ぶ。機上処理で対象が写った画像だけを検出・送信するため、通信容量が限られる静止軌道でも不要なデータを減らせる。

地上側のソフトウェアは、撮影機会の探索、衛星への指示、画像補正、分析を一つにつなぐ。画像に写った太陽電池パネル、アンテナ、噴射装置などを既知の設計情報と照合し、機体の種類、向き、回転速度、寸法を推定する。2026年の実証では既存の地球観測衛星をロケット残骸から27kmまで近づけ、最高7cm/画素で複数方向から撮影した。ただし、異常の原因を画像だけで確定できるとは限らず、運用データとの照合が必要である。

2027年の静止軌道撮影と日本での事業拡大

同社は2026年後半から静止軌道向けカメラを打ち上げ、2027年に安定した撮影サービスを始める計画である。通信、気象、安全保障を支える静止衛星は高度約3万6,000kmを飛ぶため、低軌道とは異なる放射線、温度変化、通信遅延に耐えながら、継続的に画像を取得できるかが焦点となる。

共同創業者兼CEOのWilliam Crowe氏は、重要なインフラが地上から数万km離れて稼働する一方、現地の状況を把握する手段は限られていると説明した。主導投資家のSteve Baxter氏も、同社が宇宙状況把握に新しい種類のデータを加えたと評価する。今後は日本の政府・衛星運用者との連携に加え、Astroscaleによる点検後の修理やデブリ除去へ画像をつなげられるかが注目される。

参考文献:

※1:HEO「HEO Raises US$25 Million to Expand the World’s Largest Commercial Non-Earth Imaging Network into GEO」(リンク

※2:HEO「Identification and Characterisation of Space Objects Through Non-Earth Imaging」(リンク

※3:HEO「HEO Unveils Latest Non-Earth Imaging Camera Bringing Commercial Satellite Inspection to GEO」(リンク

※4:HEO「HEO Demonstrates Sustained Spacecraft Inspection Through RPO Campaign」(リンク

※5:HEO「HEO Opens Tokyo Office to Support Japan’s Growing Space Domain Awareness Capabilities」(リンク

※6:HEO「Astroscale and HEO Advance Space Monitoring Capabilities for Allied Nations」(リンク


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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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