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建設重機を自律化するGravis Roboticsが2億ドル調達 ソフトバンクが出資

スイス・チューリッヒのGravis Roboticsは、既存の油圧ショベルやホイールローダーを自律化する2022年設立の企業である。スイス連邦工科大学チューリッヒ校から生まれ、センサー、制御装置、AIを重機へ後付けするシステムを開発している。

同社は2026年8月17日、シリーズAで2億ドルを調達した。SoftBankが投資し、同社によれば建設ロボティクス分野では最大のシリーズAとなる。資金は技術者の採用、製品開発、4大陸で始まっている自律重機の導入拡大に充てる。

建機メーカーを問わない自律化とSoftBankの大型投資

Gravis Roboticsの特徴は、特定メーカーの新型車両を販売するのではなく、建設会社が保有する重機へ自律機能を追加する点にある。対応実績にはCaterpillarやJohn Deereのほか、日立建機、住友建機、ヤンマーなど日本メーカーも含まれる。同じ制御基盤を小型ショベルから約5倍の大きさの機体まで適応させ、混在する車両群をまとめて運用する構想である。

同社は、人が運転する際の支援から遠隔操作、完全自律までを段階的に選べる設計を採る。既存のオペレーターは運転席で3Dガイダンスと危険検知を利用でき、自律運転時には安全な場所から複数台を監視する。公式発表では、手動運転に比べて現場の処理量を最大30%高められるとしているが、同社による実績値である点には留意が必要である。

当社メディアでも以前、既存重機を自動化するBedrock Roboticsを取り上げた。両社とも後付け型だが、Gravis Roboticsは土質と機体ごとの挙動を学習するモデルを前面に出し、複数メーカーへ共通展開する。SoftBankがシリーズAで2億ドルを投じたことは、建設現場をPhysical AIの大規模市場と捉えた動きである。

土の抵抗を読み取り、掘削動作へ変えるPhysical AI

自律走行車が障害物を避けるのに対し、油圧ショベルは土や岩へ接触し、周囲の形を変えながら作業する。掘削中は地中の硬さや石の位置が見えず、バケットへかかる負荷も刻々と変わる。同社はエンジンや油圧系の状態、振動などの機体データをAIへ入力し、土から受ける抵抗を推定しながら動作を調整する。

周囲の把握にはLiDAR、カメラ、測位センサーなどを用い、地形、機体の姿勢、人や障害物を三次元で捉える。設計データから目標となる溝や地形を設定すると、制御システムが掘る位置、バケットの軌道、土を下ろす場所を計算する。作業中に得た地形情報は測量や危険箇所の地図にも使われ、重機自体が現場センサーとして働く。

制御モデルの学習では、仮想環境で粘土から岩混じりの地盤までを再現し、大量の掘削を経験させる。そこで得た動きを実機へ移す「シミュレーションから現実への転移」により、現場だけでは集めにくい失敗例も学習できる。さらにメーカーごとの重量、油圧応答、関節構造をモデルへ組み込み、機体が変わっても一から制御を作り直す範囲を減らす。

世界展開と建機レンタルを通じた導入拡大

調達後は、各地の建設会社や重機レンタル事業者を通じて導入を広げる。英国では政府支援を受けた800万ドル規模のプロジェクトを主導し、Flannery Plant Hireの油圧ショベルへ自律化装置を搭載する。利用企業が専用車両を購入せず、レンタルで自律機能を使える展開を目指す。

共同創業者兼CEOのRyan Luke Johns氏は、現場の不確実性に耐える自律重機を主要な建設現場へ広げると説明した。SoftBank GroupマネージングディレクターのDai Sakata氏は、Physical AIを次のAI戦略の中核と位置づけ、建設インフラの効率化を支援すると述べている。

日立建機との実演では電動ショベルによる自律掘削を公開している。今後、日本メーカーの機体へ対応するだけでなく、日本の建設現場やレンタル網で商用運用へ進めるかが、日本との関係を見るうえでの焦点となる。


参考文献:

※1:Gravis Robotics「2億ドルのシリーズA公式発表」(リンク

※2:同社HP(リンク

※3:当社メディア「Bedrock Roboticsの建機自動化」(リンク



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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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