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自宅採取した検体から膣内の細菌・真菌を調べるEvvyが4,000万ドル調達

米国ニューヨークのEvvyは、自宅で採取した膣内検体を遺伝子解析し、細菌や真菌の種類と構成比を調べる検査サービスを開発する2021年設立の企業である。検査結果を医師が確認し、症状や既往歴に応じた治療につなげる仕組みも提供する。

同社は2026年9月15日、シリーズBで4,000万ドルを調達した。Catalio Capital Managementが主導し、Labcorp Venture Fund、General Catalystなどが参加した。資金は検査・診療基盤の拡大と、妊娠しやすさに関わる微生物指標の臨床検証に充てる。

限られた病原体の検査から微生物群全体の解析へ

一般的なPCR検査は、あらかじめ設定した病原体を高感度に調べる一方、対象外の微生物や複数種の組み合わせは把握しにくい。同社の検査は、検体中に含まれるDNAを広く読み取り、700種類を超える細菌と真菌を種の水準で分類する。細菌性膣症やカンジダ症を単一の病原体だけでなく、微生物群の崩れとして捉える考えである。

検査はCLIA認証を受けた検査室で実施され、ニューヨーク州のCLEP承認も取得している。2024年の査読論文では、純粋培養した168株などを使って分析性能を検証し、感度93.1%、特異度90.0%を報告した。ただし、これは微生物を正しく検出できるかを測った値であり、あらゆる症状の原因や治療効果を同じ精度で判断できることを示すものではない。

同社によると、これまでに10万人超の患者と3,000人超の医療従事者が基盤を利用した。Labcorpの投資部門も継続出資しており、家庭用検査から医療機関を通じた提供へ販路を広げる。当社メディアでも以前、腸内マイクロバイオームから食事を提案するDayTwoを取り上げた。Evvyは膣内検体を対象とし、感染症や妊娠に関する診療へ接続する点が異なる。

微生物のDNAをまとめて読み、菌種と構成比を推定する解析

利用者が綿棒で採取した検体は、検査室で細胞を壊してDNAを抽出し、短い断片へ分けて配列を読む。特定の遺伝子領域だけを増幅する方法ではなく、検体中のDNAをまとめて読むショットガン・メタゲノム解析を採用するため、細菌だけでなく真菌も一度の検査で探索できる。

得られた配列からヒト由来の情報を除き、微生物の参照ゲノムと照合して菌種と相対的な構成比を求める。さらに症状、治療歴、月経周期など200項目を超える臨床情報と組み合わせ、医師が治療方針を判断するための材料にする。微生物の組み合わせと経時変化を蓄積できることが、単発の検査との違いである。

一方、ある菌のDNAが見つかっても、それだけで症状の原因とは断定できない。採取方法、輸送、参照データベース、低濃度の微生物などが結果へ影響するためである。2025年の観察研究では1,159人を対象に症状改善などを報告したが、無作為化比較試験ではなく、診断・治療は医師の判断と今後の前向き研究による検証が必要となる。

妊娠関連の指標検証と医療機関への提供拡大

同社は調達資金を使い、膣内マイクロバイオームと受精・着床などの結果との関係を調べ、妊娠に関する検査・診療モデルを検証する。米国の不妊治療施設網US Fertilityとの共同研究も継続し、医師や提携先を通じた検査提供を増やす方針である。

共同創業者兼CEOのPriyanka Jain氏は、原因不明とされてきた不妊、再発、痛みに対し、生物学的な根拠を示せる基盤を構築すると説明した。主導投資家Catalio Capital ManagementのJacob Vogelstein氏も、独自データと臨床研究、微生物指標を探索する仕組みを評価する。日本での承認申請や販売提携は公表されていない。

参考文献:

※1:Evvyによる4,000万ドルのシリーズB調達発表(リンク

※2:Evvyによる検査技術と臨床研究の説明(リンク

※3:自己採取検体を用いるメタゲノム解析法の検証論文(リンク

※4:細菌性膣症の遠隔診療と治療後経過を調べた観察研究(リンク

※5:細菌性膣症における微生物群の違いを分析したEvvyの白書(リンク



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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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