人の動作をロボット学習用データに変えるMeckaが6,000万ドル調達
米Meckaは2026年10月7日、シリーズBで6,000万ドルを調達したと発表した。Sequoia Capitalが主導し、NVIDIA、MicrosoftのM12、Qualcomm Ventures、Samsungなどが参加した。既存投資家のKindred、Framework Ventures、Neoも出資した。
同社はロボット本体ではなく、人の動作を記録・整形して学習用データへ変換する計測・データ基盤を開発する。資金は計測機器とデータ収集基盤の拡充、社内研究所の強化、顧客現場へのロボット導入支援に充てる。
実世界で不足する「作業経験」の収集
言語モデルは大量の文章や画像から学べるが、ロボットが必要とする情報は異なる。物をつかむ位置や手の軌跡、作業する空間、動作の順序などは、一般的なウェブ動画だけでは機械が実行できる形式になっていない。ロボットを遠隔操作して実演データを集める方法もあるが、実機と操作者を長時間確保する必要がある。
同社は、人が家庭や作業現場で行う動作を一人称視点で記録し、手と頭部の位置、作業内容、周辺環境を学習可能なデータへ変換する。ロボットのメーカーや形状に依存しない人のデータを先に集め、用途に応じたロボットのデータと組み合わせる考え方である。データの量だけでなく、対象作業や場面との対応が性能を左右する。
当社メディアでは以前、シミュレーションを中心にロボットを学習させるMentee Roboticsを取り上げた。Meckaは実環境で人が行う作業を集める点が対照的である。両者は競合というより、仮想環境の試行錯誤と現実の実演データをどう組み合わせるかという、物理AIの異なるアプローチを示している。
一人称映像から手の軌跡を復元する仕組み
技術の入口は、作業者の頭部に装着したカメラである。研究用データでは、広角RGBカメラと左右のモノクロカメラを備えるProject Ariaや、ステレオ魚眼カメラを使う独自装置、スマートフォンを利用する。映像と慣性情報からSLAMでカメラの位置・姿勢を推定し、左右それぞれ21点の手の位置を三次元で復元する。
収集後は、頭部の6自由度姿勢、手の軌跡、対象物、作業場面、言語による動作説明を共通形式へそろえる。これにより、人とロボットで形状や可動範囲が違っても、何を見て、どこへ手を動かしたかを対応付けられる。同社のEgoVerseは、複数の研究機関と企業がデータを追加できる継続更新型の仕組みである。
2026年7月改訂の論文では、8万件の実演、1,965種類の作業、240の場面を用い、複数の研究室と3種類のロボットで人からロボットへの転用を検証した。人のデータを増やすと概して性能は向上したが、効果には人とロボットの作業内容や場面が対応していることが重要だった。なお、この論文は査読前のプレプリントである。
データ販売から現場導入までの一体化
共同創業者兼CEOのJosh Gao氏と共同創業者兼CTOのJason Chong氏らは、実世界の動作データは既存の情報を集めるだけでは得られず、計測から構築する必要があると説明する。今回の資金で計測手段と研究を増やし、実際に作業する場所へのロボット導入まで拡大する方針である。
同社はデータセットの提供に加え、顧客現場で作業を記録し、モデルを追加学習させ、ロボットを運用する事業も進める。焦点は、収集量の拡大だけでなく、個人情報や撮影環境を管理しつつ、異なるロボットと現場でも再現可能な学習効果を示せるかである。
参考文献:
※1:Meckaによる6,000万ドルのシリーズB調達発表(2026年10月7日)(リンク)
※2:Meckaによる事業内容とEgoVerseの説明(リンク)
※3:人の一人称視点データをロボット学習へ転用するEgoVerseの技術論文(2026年7月7日改訂、プレプリント)(リンク)
※4:Meckaの共同創業者と事業概要に関するTechCrunchの記事(2026年10月7日)(リンク)
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