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藻類を使った高タンパク食品素材を開発するEdoniaが1,500万ユーロ確保 日本でも販売開始

フランスのEdoniaは2026年10月6日、総額1,500万ユーロの資金確保を発表した。微細藻類として食品に利用されるスピルリナを加工し、食品メーカーや外食事業者向けのタンパク質原料「Edo」を開発する企業である。

今回の資金は、SWEN Blue Ocean 2、Asterion Ventures、EIT Foodによる株式投資に、Bpifranceの補助金と銀行融資を組み合わせたものだ。同社は専用施設による生産拡大と海外販売に充て、日本でも販売を本格的に開始した。全額が株式による調達ではなく、資金種別ごとの内訳は発表されていない。

健康食品から日常の食材へ広がる微細藻類

スピルリナはタンパク質を含む食品原料である一方、緑色や独特の風味が料理への利用を制約してきた。同社は、栄養成分を補う粉末として販売するだけでなく、そのまま料理へ加えられる柔らかな粒状素材へ加工する。肉を再現した完成食品を消費者へ売るのではなく、食品メーカーや厨房が既存の料理に組み込める業務用原料として普及を狙う点が特徴である。

事業は試作品の評価から顧客への供給に進んでいる。同社はケータリング大手Newrestや調理済み食品を扱うAliiveへの初期供給を開始した。投資家の発表では、事前注文の規模は3,000万ユーロに達するという。ただし、これは売上計上済みの金額ではない。発注を継続的な出荷へ結び付けるため、生産能力と供給体制の拡充が必要になる。

日本では販売窓口を設け、顧客や協業先への支援を強化する方針を示した。日本向け発表では餃子やカレーへの利用例も紹介しており、既存メニューとの組み合わせを提案している。日本企業による出資や具体的な採用企業名は明らかにしていないが、国内の食品開発担当者が試作・導入を検討できる商流を整え始めている。

加熱条件の制御による風味と食感の変換

技術の中核は、スピルリナを食べやすい粒状素材に変える独自工程「Edonization」である。公式説明によると、スピルリナと油を用い、加熱条件を精密に制御する加工法で、AgroParisTechと共同開発した。タンパク質だけを取り出して配合するという説明ではなく、スピルリナを食品原料として加工する技術である。具体的な温度や処理時間は公開ページでは示されていない。

この工程で緑色の原料を褐色の柔らかな粒に変え、うま味のある風味を引き出すという。公式の原材料表示例はスピルリナとヒマワリ油の二つであり、香料や食感を調整する添加物に頼らず、加工条件によって食べやすさを整える設計である。冷凍状態で供給し、ひき肉の代替や料理へのタンパク質補充など、用途に応じて既存の調理工程へ加えられる。

食品工業向けには、加熱殺菌後も粒の構造を保ち、水分が分離しにくいことを同社は訴求している。これは、調理直後の食味だけでなく、食品メーカーの製造工程を経ても品質を維持できるかに関わる特性だ。ただし、公開情報には試験条件の詳細がなく、すべての殺菌条件への適合を意味しない。採用時には実際の配合や加工条件での検証が必要になる。

専用施設による量産と海外供給の拡大

同社はフランス国内の専用施設を通じて生産を拡大し、欧州、日本、米国の食品メーカーや外食市場への供給を増やす方針である。共同創業者兼CEOのHugo Valentin氏は、健康食品の枠を超えて汎用的なタンパク質原料として普及させ、大規模かつ手の届きやすい価格で提供する考えを示している。

事業拡大の焦点は、試作段階の風味や食感を量産でも安定させ、顧客の必要量を継続して供給できるかにある。日本市場でも、素材単体の栄養価に加え、既存メニューへの適合性や一食当たりの原料費が採用を左右すると考えられる。今回の資金確保は、その供給基盤を整える段階に位置付けられる。


参考文献:

※1:Edoniaによる総額1,500万ユーロの資金確保と日本展開の発表(リンク)

※2:Asterion Venturesによる出資・生産拡大・事前注文の説明(リンク)

※3:Edoniaによる独自加工技術Edonizationの説明(リンク)

※4:Edoniaによる食品工業向けの原材料・加工適性の説明(リンク)

※5:Edoniaによる外食向けの調理方法・用途の説明(リンク)


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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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