複数メーカーの建設機械をまとめて自動運転するASIにソフトバンクが2.25億ドル出資
米ユタ州に本社を置くAutonomous Solutions, Inc.(ASI)は、建設機械や農業機械などを自動運転化するハードウェアと、複数車両を一括管理するソフトウェアを開発する企業である。2000年にユタ州立大学の技術を基に設立された。
同社は2026年9月24日、ソフトバンクグループと自律型建機の開発・商用化を目的とする合弁会社を設立し、同グループから2億2,500万ドルの出資を受けたと発表した。合弁会社への出資額は非公表であり、2億2,500万ドルとは別枠である。
単体の自動化から現場全体の協調運転へ
建設現場には、ダンプトラック、ブルドーザー、ローダー、締固め機など、用途もメーカーも異なる車両が混在する。各車両を個別に自動化できても、進路や作業順序を調整できなければ、待ち時間や接触リスクが生じる。ASIは一台の自動運転性能だけでなく、現場にある車両群を一つのシステムとして動かすことを狙う。
当社メディアでも以前、既存の建機へカメラやLiDARなどを後付けして自律運転化するBedrock Roboticsを取り上げた。ASIも既存車両を後付けで自動化できるが、さらに有人車両や遠隔操作車両を含む混在フリートを、メーカーを問わず中央から管制する点に特徴がある。
ソフトバンクとの合弁会社は、道路、空港、鉄道、廃棄物処理施設などの大型インフラ工事を対象に、自律型建機の開発と商用化を進める。日本の建機メーカーや建設会社との具体的な提携、日本国内への導入時期は公表されていない。ただし、日本企業による大型出資を通じ、建機単体ではなく現場全体を自動化する事業の拡大が始まる点は注目に値する。
後付け制御と中央管制を結ぶ車両群の自律化
車両側には、操舵、加速、制動、変速などを制御するVehicle Automation Kitを搭載する。ドライブ・バイ・ワイヤ対応機器や第三者製の制御装置とも接続できる設計で、特定メーカーの建機だけに閉じない。車載コンピューターは車両の状態を取得し、GPS、無線、ビーコン、カメラなどを用途に応じて組み合わせて位置を把握する。
中央側の「Mobius」は、各車両へ走行経路と作業を割り当て、経路生成、衝突回避、作業順序の調整を行う。車載センサーが障害物を検出すると、情報を他の車両にも共有する。一人の担当者が複数台を監視でき、必要な場合は遠隔操作へ切り替えられるため、自律運転と人による介入を同じ管制系に収められる。
安全面では、仮想境界で走行範囲を制限するジオフェンスを設定し、有人車両や作業員が自律運転区域へ入った場合に車両を停止させる。GPSから求めた速度と車両側の速度、指示経路からの逸脱、制御装置の動作、通信状態も照合する。つまり、個々の建機を動かす制御と、現場全体の交通整理を重ねることで、異なる車両が同時に働ける環境を構築する技術である。
大型インフラ工事での混在フリート実装が焦点
新会社はまず、土工や資材運搬を中心とする大型インフラ工事で商用展開を進める見通しである。今後の焦点は、メーカーや年式の異なる建機を同じ現場へ導入する作業をどこまで標準化し、有人作業と共存しながら安全性と生産性を実証できるかにある。
ASIのMel Torrie CEOは、合弁会社について「大規模化と長期運用を前提に設計し、現場の主要な建機メーカーすべてに開かれた仕組み」と説明した。25年以上の運用技術とソフトバンクの資本を組み合わせ、土工から建築まで複雑な作業を担う混在フリートの商用化を目指すとしている。
一方、合弁会社の名称、出資額、導入顧客、商用化時期は公表されていない。既存車両への適合工数や通信環境、現場ごとの安全認証を含め、実装コストと導入速度を確認する必要がある。
参考文献:
※1:ASIとソフトバンクグループによる合弁会社設立および2億2,500万ドル出資の公式発表(リンク)
※2:ASIによる車両群管制システム「Mobius」の技術説明(リンク)
※3:ASIによる建設機械向け自律運転システムの説明(リンク)
※4:ASIによるMobiusの機能・安全設計に関する資料(リンク)
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