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心房細動の電気信号を高精度に可視化するCoreMapが3,700万ドル調達

米国マサチューセッツ州のCoreMapは、心房細動の治療を支援する心臓電気生理学マッピングシステムを開発する2016年設立の医療機器企業である。心臓内へ挿入したカテーテルで電気信号を測定し、治療すべき領域を医師が判断するためのデータを提供する。

同社は2026年7月29日、シリーズCで3,700万ドルを調達した。ラウンドは医療機器大手Medtronicが主導し、既存投資家と新規投資家が参加した。資金は次世代マッピングシステムの開発と市場投入に向けた取り組みの加速に充てる。

変化し続ける電気信号から治療対象を見つける患者別マッピング

心房細動は、心臓上部の心房で電気信号が乱れ、細かく震えるように動く不整脈である。カテーテルアブレーションでは、異常な信号の発生や伝わりに関わる組織を処置する。しかし、心房細動中の電気活動は短時間で変化するため、治療対象を患者ごとに見つけることが難しい。

同社は微小電極を高密度に配置したカテーテルと解析アルゴリズムを組み合わせ、従来のマッピングでは識別しにくかった電気信号を捉える。目標は、解剖学的に決めた範囲を一律に処置するだけでなく、心房細動を維持する可能性のある領域を特定し、患者別の治療判断につなげることである。

当社メディアでも以前、心房細動を高電圧パルスで治療するKardiumのカテーテルを取り上げた。Kardiumが組織を処置する技術を開発するのに対し、CoreMapは「どこを処置するか」を電気信号から探る。両社は、治療手段と診断・誘導という異なる側面からアブレーションの精度向上を目指している。

微小電極と組織特性解析による局所的な電気活動の把握

心臓内の電極が取得する波形は「心内電位」と呼ばれ、心筋を興奮が通過した時刻や信号の強さを示す。電極が広い範囲の信号を拾うと、異なる方向から届いた波が重なり、興奮時刻を判別しにくい分裂電位が生じる。これは伝わる方向や速度を推定する際の誤差につながる。

同社は微小電極と直交する電極対を用い、周囲から共通して入る信号を差し引くことで、電極直下の狭い領域に由来する活動を抽出する。公式の前臨床データでは、6mmの範囲と8ミリ秒の時間幅で、電気的興奮の進行方向と速度を識別できたとしている。これは臨床成績ではなく、前臨床段階の測定性能である。

さらに、刻々と変わる活動パターンそのものだけでなく、比較的変化しにくい心房組織の電気的特性を解析対象とする。異なる場所のデータを順次取得しても同じ地図へ重ねやすく、1回のマッピングで数十万件の電気活動を記録する。解析アルゴリズムはこのデータから、心房細動を維持する可能性のある局所領域を探す。

米国臨床試験の進行と市場投入への前進

同社は2025年、米食品医薬品局(FDA)から治験用医療機器免除(IDE)の承認を受け、臨床試験「INvENI」を米国へ拡大した。試験では、標準治療とCoreMapによるマッピングを用いた治療を比較し、術後12カ月までの心房細動などの再発を評価する。ClinicalTrials.govでは245人の登録を予定し、2026年12月の完了を見込む。

共同創業者兼CEOのSarah Kalil氏は、医師が心房細動をより明確に理解し、標的を絞った患者別治療を行えるようにすることが目標だと説明した。MedtronicのChris Eso氏も、同社が心房細動治療の重要な未解決課題に、臨床的な裏付けを伴う技術で取り組んでいると評価している。

今回の資金により市場投入までの開発を進める方針だが、承認申請や販売開始の時期は公表されていない。日本企業による出資や提携も確認できなかった。まずは進行中の比較試験で、安全性に加えて再発抑制効果を示せるかが、商用化に向けた焦点となる。


参考文献:

※1:CoreMap Announces Oversubscribed Series C Financing Led by Medtronic to Advance Next-Generation AF Mapping Platform( リンク

※2:カテーテルアブレーション開発のKardiumが360億円を資金調達。心房細動を治療する医療機器、FDAで審査中( リンク

※3:同社HP( リンク



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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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