カテーテルアブレーション開発のKardiumが360億円を資金調達。心房細動を治療する医療機器、FDAで審査中

カナダの医療機器開発スタートアップであるKardiumは2025年7月2日、$250m(約360億円)の資金調達を発表した。
Kardiumは2007年設立で、カナダのブリティッシュコロンビア州バーナビーに本社を置く。心房細動(AF)患者向けのカテーテルを開発する。
Kardiumのカテーテルアブレーションは高電圧パルスを加える方式
心房細動は不整脈の一種であり、心房が1分間に数百回の動きを見せる症状のこと。心臓を動かす電気信号の異常が原因である。Kardiumによると、心房細動患者は世界で5900万人、存在する。
心房細動の治療法の一つとなるのが、カテーテルアブレーションだ。カテーテルアブレーションは、脚などからカテーテルを血管に挿入。それを心臓に到達させる。心臓の中でカテーテルから熱エネルギーを送り焼灼する、高電圧パルスを印加するといった方法で、心房細動の原因となる電気信号の異常を遮断するものだ。
Kardium以外のカテーテルアブレーションを開発する企業として、Johnson & JohnsonグループのBiosense Websterが挙げられる。
そしてKardiumは、Globe Pulsed Field Systemというカテーテルアブレーションのシステムを開発した。先程、カテーテルアブレーションの方法として高電圧パルスの印加を挙げたが、Globe Pulsed Field Systemはこれに相当。カテーテルには122の電極を設ける。
Globe Pulsed Field Systemのカテーテル(Kardiumプレスリリースより)
Kardiumは、Globe Pulsed Field Systemを使用して発生した安全性イベントは、全体でも1パーセントに満たないと発表している。これは、問題が発生した場合に確率が高まるものだ。また、Globe Pulsed Field Systemを利用した患者の78パーセントが、1年後には症状の消失が見られたとしている。
2025年4月にKardiumが発信した臨床試験に関するプレスリリースによると、Globe Pulsed Field Systemは現在、米食品医薬品局(FDA)の市販前承認(PMA)審査中だという。PMAは、人命にかかわるケースも想定されるクラスⅢ医療機器の審査工程であり、FDAの審査の中でとりわけ厳しいものとして知られる。
資金は「強力な営業チームの構築」に利用
2025年7月の資金調達には、投資会社や中東の政府機関が参加した。資金は、Globe Pulsed Field Systemの承認、生産、営業面に利用するという。
その詳細を含め、KardiumのKevin Chaplin CEOは次のようにコメントした。
「世界クラスの投資家シンジケートから、この変革的な資金調達を実現できたことを大変嬉しく思う。この資金調達により、製造能力の拡大と強力な営業チームの構築が可能になり、Globe Pulsed Field Systemの商業化に向け前進できる。
Kardiumの全員が、Globe Pulsed Field Systemを市場に投入し、世界中で心房細動に苦しむ何百万人もの患者さんの生活改善に貢献できるという機会に、大きな活力を感じている」
【世界の先進医療機器の技術動向調査やコンサルティングに興味がある方】
世界の先進医療機器の技術動向調査や、ロングリスト調査、大学研究機関も含めた先進的な技術の研究動向ベンチマーク、市場調査、参入戦略立案などに興味がある方はこちら。
先端技術調査・コンサルティングサービスの詳細はこちら
CONTACT
お問い合わせ・ご相談はこちら

