貨物輸送専用の無人航空機を開発するPoseidon Aerospaceが6,000万ドル調達
米国カリフォルニア州アラメダのPoseidon Aerospaceは、地域間の貨物輸送に特化した無人航空機を開発する2024年設立の企業である。既存の旅客機を貨物用へ改造するのではなく、積載量、航続距離、運航コストを基準に機体を設計する。
同社は2026年9月8日、シリーズAで6,000万ドルを調達した。TQ Venturesが主導し、JAWS、G Squared、Hanwha Asset Management USAなどが参加した。資金は実機の飛行試験、最初の生産ライン、顧客向け事業の拡大に充てる。
操縦士の配置に縛られない地域貨物ネットワーク
一般的な貨物機の多くは、人を乗せる前提で設計された機体を改造して使う。同社は操縦席を持たない貨物専用機を一から設計し、1回の飛行で運べる重量、距離、機体の稼働率を高めようとしている。運航費を貨物重量と輸送距離で割った「飛行トンマイル当たりのコスト」を下げることが事業の中心である。
同社は機体を航空会社へ販売するだけでなく、自ら地域貨物便を運航する計画である。操縦士の勤務地や勤務時間に左右されにくいため、荷物の需要に合わせて経路や便数を調整し、機体の待機時間を減らせる可能性がある。大規模空港間の幹線ではなく、既存便を設定しにくい地方、離島、遠隔地を結ぶ輸送から参入する。
当社メディアでも以前、医療物資を運ぶ配送ドローンのZiplineを取り上げた。Ziplineが小口荷物を目的地付近で投下・降下させるのに対し、同社は最大約1.8トンの貨物を載せて空港間を飛び、着陸後にパレットや大型荷物を降ろす。商用物流と防衛物流に同じ機体を展開する方針である。
固定翼と複合材で積載量・航続距離を確保する機体設計
開発中のEgretは、翼に生じる揚力で飛ぶ固定翼機である。垂直離着陸用の回転翼を持たず、短い滑走路から離陸する構成により、重量と機構の増加を抑える。機体には軽量な複合材料を使い、内燃機関でプロペラを駆動する。公式仕様では最高巡航速度160ノット、航続距離1,650海里以上を掲げる。
翼幅は約15メートルで、最大4,000ポンド(約1.8トン)、約14立方メートルの貨物を運ぶ設計である。舗装・未舗装の滑走路に対応し、離陸距離は約457メートル、着陸距離は約610メートルとしている。機首と機体後部の双方に扉を設け、平らな床と展開式ランプによってフォークリフトでの積み替えを短時間化する。
操縦は遠隔操作に対応し、将来の自律運航を想定するが、現時点の公式表記は「自律飛行に対応可能」であり、完全自律運航の実用化を示すものではない。同社は2025年、翼幅約4メートルの実証機Seagullを飛行させ、機体設計と制御方式を検証した。今後は実物大の機体で、飛行性能、通信の冗長性、安全性を確認する必要がある。
年内の初飛行と地域貨物サービスの事業化
同社は2026年末までにEgretの無人初飛行を行う計画である。調達資金で飛行試験を進めるとともに、最初の生産ラインを整備し、技術、製造、運航部門を拡大する。顧客名、量産開始時期、商用路線は公表されておらず、日本企業との出資・提携や日本での展開も確認できない。
共同創業者兼CEOのDavid Zagaynov氏は、人を乗せる機体を貨物用へ変えるのではなく、荷物を効率的かつ確実に運ぶ目的から航空機を設計すると説明した。TQ Ventures共同創業者のSchuster Tanger氏も、実績のある技術を使いながら、積載量を中心に機体と運航モデルを組み直す点を評価している。
参考文献:
※1:Poseidon Aerospaceによる6,000万ドルのシリーズA調達発表(リンク)
※2:Poseidon Aerospaceによる無人貨物機EgretとHeronの仕様説明(リンク)
※3:Poseidon Aerospaceによる実証機Seagullと初期の機体開発に関する発表(リンク)
※4:Wilson SonsiniによるシリーズAと資金使途の発表(リンク)
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