全段再使用型ロケットを開発するStoke Spaceが10億ドル調達 15トン級新型機も発表
米国ワシントン州のStoke Spaceは、打ち上げ後に1段目と2段目の両方を回収し、再使用するロケットを開発する2019年設立の宇宙輸送企業である。衛星などを軌道へ運ぶ機体を使い捨てず、打ち上げ頻度の向上を目指す。
同社は2026年9月8日、シリーズEの初回クローズで10億ドルを調達した。Point72 VenturesとSpark Capitalが共同主導し、トヨタ系Woven Capitalなどが参加した。累計調達額は23億ドルとなる。
初飛行前から15トン級へ拡張する二段階の開発計画
調達資金は、最初の軌道飛行に向けた機体の完成、製造能力、試験・打ち上げ・回収設備の拡張に使う。初号機Nova Pathfinderは、顧客の荷物を運びながら再使用に必要な機体、制御、運用技術を実証する位置づけである。初飛行は2027年初めを予定するが、現時点では軌道投入の実績はない。
同社は同時に、完全再使用の状態で地球低軌道へ15トンを運ぶNova Block 2を初公開した。Pathfinderで主要技術を確かめ、エンジン数、燃料搭載量、荷物を収める空間を拡大した機体へつなぐ。Block 2の初飛行は2029年を予定しており、2機種を並行開発するための資金と設備を今回確保する。
当社メディアでも以前、同社が2025年に5億1,000万ドルを調達した際に取り上げた。その後、1段目の構造試験や発射場整備が進み、今回のラウンドでは大型機の計画が加わった。参加したWoven Capitalはトヨタの成長段階向け投資部門であるが、トヨタとの共同開発や日本からの打ち上げ計画は公表されていない。
燃料で冷やす金属製遮熱板と再使用向けエンジン
ロケットの2段目は軌道速度まで加速するため、帰還時には大気との摩擦で強く加熱される。一般的な機体は2段目を使い捨てるか、熱で削れる材料や耐熱タイルで守る。同社は機体底部を金属製の遮熱板とし、その内部へ極低温の液体水素を流して熱を吸収する。壊れやすいタイルの交換を減らし、短時間で再飛行させる考えである。
遮熱板には、上昇、軌道上での移動、帰還時の着陸に使うエンジンを一体化する。周囲に配置した24基の小型燃焼器の出力を個別に変え、機体の向きと着地点を制御する。液体水素は遮熱板を冷却した後に酸素と燃焼するため、冷却系と推進系で同じ燃料タンクや流路を利用できる。
1段目には、液化天然ガスと液体酸素を燃焼前にすべてタービンへ通すフルフロー二段燃焼方式を採用する。高い燃焼効率を得ながら、タービン内の温度を抑えて部品寿命を延ばす狙いがある。同社はエンジン燃焼試験と、2段目試作機の約15秒間の離着陸試験に成功したが、軌道からの再突入、全段回収、繰り返し飛行は今後の実証項目である。
2027年の初軌道飛行と量産・回収設備の整備
同社は2027年と2028年にPathfinderを複数回飛行させ、そのデータをBlock 2へ反映する。ワシントン州の試験場を75エーカーから550エーカーへ広げ、ケープカナベラルでは2機種に対応する荷物処理施設や洋上回収設備を整える計画である。
共同創業者兼CEOのAndy Lapsa氏は、成熟した交通手段では車両の再使用がコストを下げ、供給力を拡大する前提になると説明した。Spark CapitalのClay Fisher氏も、完全再使用は部分再使用に比べてコストとサービスで大きな優位を生むとの見方を示す。まずは初飛行で軌道投入と安全な帰還を実証できるかが焦点となる。
参考文献:
※1:Stoke Spaceによる10億ドルのシリーズE調達発表(リンク)
※2:Stoke SpaceによるNova PathfinderとNova Block 2の開発計画(リンク)
※3:Stoke SpaceによるNova Pathfinderの機体・技術説明(リンク)
※4:トヨタによるWoven Capitalの位置づけに関する説明(リンク)
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