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eVTOL開発のArcher Aviationが459億円を調達。前年12月に続いての資金確保、防衛用ハイブリッド機開発を明言

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米Archer Aviaitionは2025年2月11日、$301.75m(約459億円)の調達を発表した。ATXでも既報の通り、2024年12月にも$430m(約650億円。当時レート)の調達に成功しており、この3カ月でおよそ$700m(約1064億円)以上を確保している。

参考記事:eVTOL開発の米スタートアップ・Archer AviationがポストIPOで650億円を調達。Anduril Industriesとの防衛用次世代機の共同開発も発表

Archerは、カリフォルニア州に本拠を置き、eVTOLを開発するスタートアップだ。

前回調達時に防衛部門を設立

12月の資金調達時には、防衛装備品を開発する企業であるAnduril Industriesとともに防衛用次世代機を共同開発することを発表。また同時に、防衛部門として「Archer Defense」を設立した。

それ以前の2021年より、Archerは米国防総省とパートナーシップを結んでおり、空軍省が進めるイノベーションの取り組み「AFWERXプログラム」では、$148m(約225億円)を受給している。Archerによれば、同プログラムでのeVTOL開発企業に対する支給額としては、最大だという。

設立したばかりのArcher Defenseには、アドバイザリーボードを設置。米陸空軍の退役した研究者や将官らをメンバーに据え、ペンタゴンとの連携を進める。

現状、Archerは民生用のeVTOLとして「Midnight」の開発を行っている。

Midnightのインテリア(Archerメディアキットより)

上の写真を見る限り機体内部はラグジュアリーな指向性を感じさせるが、当然、民生用なので防衛向けとは仕様が異なると見られる。なお、このMidnightはパイロット以外の乗客が4人で、最高時速は150マイル(約240キロメートル)の仕様だ。

Midnightに関しては、資金調達後の2月18日、米連邦航空局(FAA)のパート141認証を取得。これは航空学校に対する認証であり、Archerは今後、Midnightがエアタクシーとして商業化をにらみパイロット供給を行っていくと説明する。

財務面を強化。防衛向けハイブリッド機が商業機に先行か?

2025年2月の資金調達は、機関投資家が参加。また、Archerはこの調達によって流動性ポジションが約$1b(約1520億円)になったと説明しており、特定の使途に資金を活用するというよりも将来を見据えた財務面強化の一環であることを示唆した。

ArcherのAdam Goldstein創業者兼CEOは、「防衛分野における先進的なVTOLのビジネスチャンスは、当初の予想よりもかなり大きいと捉えている」とコメント。今回のプレスリリースには、Archer Diffenseの初号機は「ハイブリッド推進垂直離着陸機となる予定」と明記された。

エアモビリティは実現性への疑問の声も見られるが、政府からの要望と支援が大きい防衛用途が商業向けの機体に先んじることも考えられる。




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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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