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力加減を調整して物をつかむロボットを開発する Eka Roboticsが1.5億ドル調達

米Eka Roboticsは2026年10月20日、シリーズAで1億5,000万ドルを調達したと発表した。Andreessen Horowitz(a16z)とF-Primeが共同主導し、既存投資家のObvious Ventures、E14 Fundに加え、Samsung Nextなどが参加した。

同社は、映像と物体に触れたときの力を使い、つかむ強さや動きを調整するロボット技術を開発する。食品の取り扱いや部品の組み付けなどを対象に、形や位置が変わる物体にも対応できる操作を目指す。調達資金は対応作業の拡大と顧客への導入加速に充てる。

柔らかい食品や位置のずれた部品への対応

果物のように形や柔らかさがそろわない物体や、位置がわずかにずれた部品は、同じ軌道を繰り返すだけでは扱いにくい。同社が狙うのは、こうした変動に対応しながら、現場で必要な処理速度も保つことである。自動車の配線や電子機器の細いケーブル、傷つきやすい青果物など、人の手に頼る工程への展開が期待される。

同社は毎時1,500回の物体の取り上げを報告している。ただし、a16zの説明では、実験室内で物を搬送ラインへ投入したり、箱から取り出したりする作業での最大値である。電球のねじ込みや配線の挿入も示しているが、これらすべてを同じ速度で処理するという意味ではない。対象物が変わっても速さと確実さを維持できるかが、商用化の重要な条件となる。

当社メディアでも以前、人の動作をロボットの学習用データに変えるMeckaを取り上げた。作業経験をどのように集めるかは、ロボットの適用範囲を広げる共通の課題である。今回のEka Roboticsは仮想環境での試行錯誤を重視し、人による実演だけでは集めにくい失敗や復旧の経験も学習へ取り込む。

視覚と力覚を結び付ける制御と仮想環境での学習

技術の中核は、見えている物体の情報と接触時の力を組み合わせ、次の動作へ反映するVision-Force-Action(VFA)モデルである。カメラによる位置把握に、ロボットハンドからの力の情報を加える。例えば部品を差し込む際、画像上は位置が合っていても、抵抗が大きければ動きを調整する手掛かりになる。滑りかけた物体をつかみ直す判断にも、接触の情報を用いる。

F-Primeの説明では、初期の実演には関節を持つ2本指のグリッパーを使い、独自の方法で力を捉える。人の手の形や多数の関節を再現することを前提とせず、センサー、ハンド、制御、AIを一体で設計する方針である。一方、力の計測方式やセンサー構成の詳細は公表されておらず、測定精度や応答速度まで判断できる資料は示されていない。

学習には物理シミュレーションと強化学習を用いる。仮想空間で位置や摩擦、接触条件を変え、試した動作の結果から制御方法を改善する仕組みである。大量の実機や操作者を確保せずに経験を増やせる一方、物体の変形や摩擦を現実どおりに再現することは難しい。同社の開発では、この仮想環境と実機の差を抑え、学習した動きを現実の物体にも適用することが要点となる。

対応作業の拡大と生産現場での安定稼働

出資者であるa16zのRaghu Raghuram氏は、同社のモデルについて、多様な対象への対応力と、現場への導入に必要な処理能力を両立するアプローチとして評価している。同社は今回の資金で対象作業を増やし、顧客の現場で継続的に安定した性能を発揮できるよう開発を進める。

事業化の焦点は、短時間の実演で示した能力を、長時間の連続稼働でも維持できるかである。食品工程では損傷の少なさ、組立工程では仕上がりの品質が重要になる。処理速度に加え、対象物の変更に伴う調整や作業失敗からの復旧をどこまで減らせるかが、導入効果を左右する。


参考文献:

※1:Eka Roboticsによる1億5,000万ドルのシリーズA調達発表(2026年10月20日)(リンク)

※2:a16zによる出資と技術・性能評価の説明(2026年10月20日)(リンク)

※3:F-Primeによる力覚制御・グリッパー・学習方法の説明(2026年10月20日)(リンク)


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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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