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低温酸素灌流で移植用肝臓を保存するBridge to Lifeが1.1億ドル調達

米国ジョージア州のBridge to Lifeは、移植用臓器の保存液や灌流装置を開発する医療機器企業である。主力装置は、搬送後のドナー肝臓へ低温の酸素化保存液を循環させ、移植手術まで臓器の状態を保つ。2026年1月に米FDAのDe Novo認可を取得した。

同社は2026年8月12日、シリーズCと融資を合わせて1億1,000万ドルを調達した。株式部分はSoleus Capitalが主導し、Lauxera Capital Partnersなどが参加した。資金は米国での装置展開、臓器の状態評価技術、肝臓以外への応用に充てる。

FDA認可と臨床データを基盤とする商用展開

今回の資金は、研究開発段階の装置を完成させるためではなく、FDA認可を得た製品を全米の移植施設へ広げるための成長資金である。同社によれば、発売後6カ月で主要な移植施設や臓器調達機関と契約し、継続注文も得ている。装置の販売に加え、現場での訓練や臨床支援を増やす必要があり、資金は人員と運転資金にも使われる。

認可の根拠となった無作為化試験では、15施設の肝移植患者219人を対象に、低温酸素灌流と従来の低温保存を比較した。移植後早期に肝機能が十分回復しない「早期移植肝機能不全」は、灌流群で20.2%、従来群で37.3%だった。一方、1年後の患者生存率と移植肝生存率に明確な差はなく、長期的な優位性まで示した結果ではない。

当社メディアでも以前、ドナー臓器へ液体を循環させて新薬候補を試験するRevalia Bioを取り上げた。Revalia Bioが移植に使えない臓器を研究へ活用するのに対し、Bridge to Lifeは移植予定の肝臓を保護する。体外の臓器へ液体を流す同じ灌流技術でも、目的と規制区分は異なる。

低温と酸素で移植前の肝臓を保護する機械灌流

従来の静的低温保存は、肝臓を保存液に浸して冷却し、細胞の代謝を遅らせる方法である。ただし血流が止まった状態では酸素が届かず、移植時に温かい血液が戻ると細胞障害が起こり得る。高齢者や心停止後のドナーなど、傷みやすい肝臓ほど影響を受けやすい。

同社の装置は、搬送後の肝臓を4~12℃に保ち、酸素を含ませた保存液を門脈から低い圧力で循環させる。ポンプが圧力に応じて流量を調整し、温度、気泡、回路の異常を監視する。血液や血液製剤は使わない。FDA認可上は搬送中の使用ではなく、移植施設へ戻った後から手術までの処置に限られる。

低温で代謝要求を抑えながら酸素を与えることで、ミトコンドリアの好気的代謝を再開させ、細胞内のエネルギー源となるアデニンヌクレオチドを補う狙いである。循環液は代謝物も洗い流し、血流再開時の障害を抑える。同社が開発中の臓器状態評価ツールは別技術であり、現時点ではFDA認可を受けていない。

全米展開と肝臓以外の臓器への応用

同社は調達資金で営業・臨床支援体制を拡張し、全米の移植施設への導入を進める。今後3年間で肝臓以外の臓器にも対象を広げ、搬送工程を簡素化する閉鎖型システムも開発する。臓器の採用判断を客観化する評価ツールについては、安全性と有効性の検証が今後必要となる。

CEOのDon Webber氏は、主力装置の導入が想定を上回り、今回の資金で需要への対応と他の固形臓器への展開を進めると説明した。投資家のBen Lund氏も、FDA認可済み装置と既存の保存液事業を併せ持つ点を評価する。日本企業との直接的な関係は確認できないが、テルモは常温灌流を手がけるOrganOxを15億ドルで買収し、同じ臓器保存機器市場へ参入している。


参考文献:

※1:Bridge to Life Raises $110 Million to Make Hypothermic Oxygenated Perfusion the Standard of Care in Liver Transplantation and Beyond( リンク

※2:米FDA VitaSmart HOPE SystemのDe Novo認可( リンク

※3:同社HP( リンク



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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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