AIで銅・リチウム生産を効率化するMariana Mineralsが3.1億ドル調達 三菱商事も出資
米国サンフランシスコを拠点とするMariana Mineralsは、銅、リチウム、ニッケルの鉱山・製錬事業を手がける企業である。ソフトウェアを外販するのではなく、自ら鉱山と製錬所を建設・運営し、独自基盤「MarianaOS」で事業全体を最適化する。
同社は2026年8月3日、シリーズBで3億1,000万ドルを調達した。Khosla Venturesが主導し、既存投資家のa16zなどに加え、三菱商事やBHP Venturesが新たに参加した。親会社・プロジェクトを合わせた累計調達額は約4億ドルとなる。
鉱山ソフトウェアの外販ではなく、自社操業で回す垂直統合モデル
同社はAIツールを鉱山会社へ販売するのではなく、自ら鉱山や金属の精製施設を保有・運営する。現場で得たデータをMarianaOSへ戻し、次のプロジェクトの工期短縮とコスト削減につなげる仕組みである。10年間で10件の商用プロジェクトを立ち上げる方針を掲げる。
旗艦案件の「Copper One」は、ユタ州南東部にある既存の銅鉱山・精製施設である。2025年末の取得後、同社は4カ月で採掘を再開したと説明する。既存設備へ自律運転と工程制御を組み込み、鉱石と銅スクラップから年5万トンの精製銅を生産する目標である。
三菱商事は新規投資家として参加した。同社は銅、リチウム、ニッケルなどの資源投資・取引を事業領域としており、Mariana Mineralsの対象鉱種と重なる。ただし、出資額や業務提携、日本向け供給については発表されていない。
鉱山開発・採掘・精製を横断する統合AI基盤
鉱山開発では、設備設計、資材調達、建設、試運転を複数の企業や担当者が分担するため、工程間の情報が分断されやすい。同社は、設備配管や制御機器を示す図面、調達日程、施工計画を共通のデータ基盤へ集約する。LLMを用いたAIエージェントが情報の関連性を読み取り、設計変更が資材や工期へ及ぼす影響を追跡する仕組みである。
採掘段階では、地下の地質モデル、採掘計画、重機の稼働データ、鉱石の運搬状況を統合し、鉱山全体をデジタル上で再現する。機械学習とシミュレーションにより、掘削地点、運搬経路、異なる品位の鉱石を混ぜる割合を調整する。AIが計画案を更新する一方、技術者や地質担当者がモデルの妥当性と操業状況を確認する。
精製工程では、鉱石の品位や原料の組成が変わるたびに、温度、薬剤投入量、処理速度などの条件を調整する必要がある。同社は強化学習を使い、金属の回収率、薬剤とエネルギーの消費量、設備稼働率を見ながら設定値を更新する。こうした建設・採掘・精製向けの機能を統合したものが「MarianaOS」である。
Copper One増産とLithium Oneの2027年生産開始
調達資金はCopper Oneの増産と、テキサス州の「Lithium One」建設などに充てる。後者は石油・ガス随伴水からリチウムを直接抽出し、2027年上期に商業生産を始める計画である。最大年3,000トンの電池用リチウム塩を目指す。
当社メディアでも以前、直接リチウム抽出法(DLE)を取り上げた。Lithium Oneは、低濃度で不純物を含む随伴水へDLEと動的工程制御を組み合わせ、水処理網を活用する商用化案件である。
CEOのTurner Caldwell氏は、重要鉱物を巡る競争は「実行」の問題であり、今回の資金で実証から規模拡大へ移ると説明した。Khosla Ventures創業者のVinod Khosla氏も、鉱山・製錬所を自律運営するAIを供給拡大の鍵と評価する。
参考文献:
※1:Mariana Minerals Raises $310 Million Series B Led by Khosla Ventures to Accelerate Critical Minerals Production( リンク)
※2:三菱商事 金属資源グループ( リンク)
※3:同社HP( リンク)
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