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Manus AIが107億円の資金調達とメディア報道。中国のAIエージェント開発スタートアップ

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中国のAIスタートアップであるManus AI(正式社名はButterfly Effect)が$75m(約107億円)の資金調達を行った模様だ。2025年4月25日、Bloombergが伝え、他のメディアも追随している。正式発表は、5月に入ってからも行われていない。

Manusは2023年設立で、本社は北京にある。2025年3月、AIエージェント「Manus」を発表。その性能の高さから、同年1月に発表のあった同じく中国製の大規模言語モデル(LLM)「DeepSeek R1」に続き、注目を集めた。

GAIAベンチマークではOpenAI Deep Researchより高い記録

AIエージェント「Manus」は、LLMのように疑問や課題に対して解決策を示すだけでなく、タスク(仕事)をこなすことも可能となっている。

例えば、Manusはオフィシャルサイトでさまざまなデモを公開。このうち「名刺作成」のデモでは、「Appleのデザイン哲学にインスパイアされた名刺の作成」をモデルに依頼し、同時に履歴書を参考として添付している。

最終的に、シンプルなデザインの名刺ができ上がるものだ。

Manusは自らの性能を示すため、同じくオフィシャルサイトにGAIAの評価を掲載。GAIAとは、人間にとっては難易度が高くないがAIにとっては難しい466の質問を投げかける、ベンチマークだ。

ManusはGAIAの3つのレベルすべてで、OpenAI Deep Researchより高い性能を示した。もっとも、Level 2においては、Manusの正答率が70.1パーセント、OpenAI Deep Researchは69.1パーセントと、今のところ競った状態となっている部分も見られる。

すでにChatGPTなどと同様、有料プランも用意。「Manus Starter」は月額$39(約5600円)、「Manus Pro」は月額$199(約2万8000円)であり、他社とさほど変わらない料金設定だ。

Manusのコーポレートサイトやそれに類する発信は確認できず、企業としての動向が見えづらい側面もある。しかし、後述するように参入する市場を拡大していく方針であるようだ。

日本を含む新市場へ参入

$75mの資金調達は、シリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)であるBenchmarkが主導したという。そして資金の使途は、米国、日本、中東への市場進出といわれ、前述の通り、参入する先を拡大していく意向が見て取れる。

公式発表はなく、関係者のコメントの発表、報道もない状況だ。




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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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