米防衛用無人機開発のMach IndustriesがシリーズBで144億円を調達。垣間見える生産能力を増強する姿勢

防衛用無人機開発の米Mach Industriesは2025年6月17日、シリーズB資金調達ラウンドでの$100m(約144億円)の確保を発表した。
同社は2023年、Ethan Thornton CEOがマサチューセッツ工科大学(MIT)を中退して設立。カリフォルニア州に本社を置く。
2025年下半期に工場建設へ
Machは現在、3種類の無人機を開発している。それぞれの特徴を挙げる。
Viperは、垂直離着陸(VTOL)の攻撃機で、離陸はロケットの打ち上げのように行う。もっとも、機体の形状は従来のジェットエンジン駆動の戦闘機と似ており、見慣れたものと感じる人も少なくないだろう。無人機という特性を生かし、かなりアクロバティックな動きが可能であるようだ。
Glideは名前の通り、グライダーと同様に滑空する無人機。航空機に曳航された後に引き離されるグライダーがあるが、Glideの場合は気球やヘリコプターなどに「吊るす」ような形で引き上げられ、そこから切り離されて滑空を始める。数千マイル先まで弾薬を運ぶとウェブサイトに書かれており、攻撃機、あるいは、爆撃機のように利用するものと見られる。
Storatosは、以上の2つとは見た目からして明らかに異なる。気球やラジオゾンデのような形状だ。携帯電話通信用の無人機であるHAPSと同様、高高度に滞空し通信の媒介を行う。
以上、3種の無人機はオフィシャルサイトに動画が掲載されているので、そちらを観ると飛行する姿が鮮明に理解できるだろう。
前述の通り、Machは2023年設立で創業者も企業自体も非常に若い企業だが、すでに140人を雇用。そればかりでなく、2025年3月20日にはジェットエンジン製造の部門であるMach Propulsion設立を発表した。2025年後半に工場建設が着工予定で、部分的には生産のフェーズにも移っている。
なお、シリーズBを広報するプレスリリースでは、Machが米国防総省・陸軍・空軍・特殊作戦軍、ならびに、同盟国政府と連携していると明記。実際、2025年3月4日には、米陸軍から垂直離陸巡航ミサイルの開発を受託したとの発表があった。
「米国の戦略的優位性に寄与」とCEO
シリーズBは、ベンチャーキャピタル(VC)、投資会社が主導した。
資金の使途は、「事業をさらに工業化することで、生産能力をより迅速かつ需要に近い場所で、より大規模に展開」「米国とその同盟国が次世代システムを最も必要とされる時に、最も必要とされる場所に配備できるようにする」と述べるにとどめられている。もっとも、生産能力の強化を示唆しているともいえよう。
Thornton CEOは、次のようにコメントした。
「Machは、国家の即応性を強化し、米国の戦略的優位性を維持するために存在する。世界の安全保障は、アメリカが非対称無人能力を構築する能力にかかっている。それは、生産の拡大、新たな施設の建設、そして紛争を抑止するシステムの配備を意味する」
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