米防衛装備品スタートアップのCastelionがシリーズBで503億円を調達と報道。極超音速兵器を開発

米防衛装備品開発スタートアップのCastelion Corporationが、シリーズB資金調達ラウンドで$350m(約503億円)を確保した模様だ。TechCrunchが報じた。本稿執筆時点(2025年7月14日)で公式発表はされていない。
Castelionは極超音速兵器を開発。共同創業者のBryon Hargis CEO、Sean Pitt COO、Andrew Kreitz CFOはいずれもSpaceXの出身である。
米防衛装備品の開発環境は「許されない状況にある」というCastelionの主張
極超音速兵器は一般的に、マッハ5以上で滑空するミサイルなどを指す。米国、中国、ロシアの他、日本の近隣国では北朝鮮も開発しているといわれる。また、日本政府も米国との共同開発を進める。
こうした中で、極超音速兵器開発のコスト削減と開発期間の短縮を目指すのが、Castelionだ。
設立は2022年で、2023年にシード資金調達ラウンドの完了(調達額は$14.2m。約21億円、当時レート)を発表するまでステルス状態(創業を秘匿とすること)にあった。
このシードラウンドの直後より、飛行試験の成功、フライトコンピューターの自社開発を相次いで発表。さらに2025年1月には、シリーズA資金調達ラウンドでの$100m(約156億円、同)の確保も発表している。
つまり、シリーズBが報じられている通りだとすれば、シリーズAからおおむね半年程度しか経っていないのにもかかわらず、さらに巨額の資金を獲得したことになる。
先ほども触れたように、米国の防衛装備品の開発コストや開発スピードには不足があるというのが、Castelionの立場だ。オフィシャルサイトの「About Us」には、次のような文言が記されている。
米国の年間国防予算は、支出額の多い10カ国の合計額を上回っているにもかかわらず、権威主義体制が極超音速兵器などの主要軍事技術において主導権を握っているという反駁の余地のない証拠がある。端的に言えば、このようなことは許されない。
もっとも、具体的にどのような形でコスト削減などを図っていくか、公式な声明は確認できない。一方、2024年3月のReutersの報道では「極超音速ミサイル、制御ステーション、データリンクを含む完全な兵器システムを設計・構築するという目標を掲げる」としており、プラットフォーム全体の開発で、低コストながら収益性のある事業環境づくりを進めていると見られる。
米陸軍の予算要求に記されたCastelion
前出の報道によると、シリーズBはベンチャーキャピタル(VC)と投資会社が主導したという。
公式発表がないため資金の使途も明確ではないが、6月に米陸軍が要求した予算の内容には、「Blackbeard」と銘打たれた地上発射型で低価格・大量生産可能な極超音速兵器の開発について記載。この計画では、第1フェーズのプロトタイプの概念実証をCastelionが行う。
よって、Blackbeardのための開発資金であることも考えられる。
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