大型・高出力衛星を開発するK2 Spaceが5億ドル調達 評価額68億ドルで年産100機へ
米国カリフォルニア州のK2 Spaceは、大型・高出力衛星の開発と製造を手がける2022年創業のスタートアップである。同社は、小型衛星を多数配備する従来の構成に対し、大型ロケットへ複数搭載できる高性能な衛星バスを量産する。
同社は2026年7月30日、シリーズDで5億ドルを調達し、評価額は68億ドルとなった。Kleiner PerkinsとICONIQが共同主導し、CapitalG、Lightspeed、Altimeter、ARK Investなどが参加した。累計調達額は10億ドルを超え、資金は生産能力と大型衛星の開発拡大に充てる。
軌道上実証と10億ドル超の受注を基盤とする量産移行
今回のポイントは、前回調達時に計画段階だった大型衛星「Gravitas」が軌道上で稼働し、量産の根拠となる実績が加わった点である。Gravitasは2026年3月に打ち上げられ、20kW級の衛星として12基のペイロードを搭載する。同社は大型衛星の高電力化と、低軌道から中軌道へ移動する電気推進系を宇宙環境で実証し始めた。
同社は調達と並行して、商業・政府分野で総額10億ドル超の契約を確保した。商業案件では、衛星通信大手SESが計画する中軌道通信網「meoSphere」向けに、初期分として30機を供給する。単発の実証機から、同一設計を複数機納入するコンステレーション事業へ移ることで、設計の共通化と量産によるコスト低減を進める。
当社メディアでは2025年12月、同社の2億5,000万ドル調達とGravitasの打ち上げ計画を取り上げた。当時30億ドルだった評価額は今回68億ドルへ上昇した。前回示した「軌道上実証と年産100機」の計画が、運用実績と受注を伴う段階へ進んだことが今回の調達の意味である。
20kW級電力・電気推進・垂直統合による大型衛星バス
同社の「Mega Class」は、最大3,000kgのペイロードと3m×2.7mの搭載面を備える大型衛星バスである。ピーク時のペイロード電力は30kWで、高出力通信機器、観測センサー、軌道上コンピューティングなどを想定する。一般的なコンステレーション衛星の2kWに対し、同社は10倍となる20kW級の連続電力を特徴としている。
推進系には20kWのホール効果スラスタを採用し、低軌道から中軌道まで3カ月未満で上昇できるとしている。複数軌道に対応するには推進力だけでなく、放射線耐性、冗長化したコンピューターやセンサー、発熱を処理する熱制御が必要となる。同社はこれらを共通プラットフォームへ統合し、軌道ごとの大幅な再設計を減らす。
製造面では、衛星プラットフォームの80%超を内製し、構造、アビオニクス、推進などを垂直統合する。トーランスの約18万平方フィートの工場は、年間最大100機を生産できる設計である。大型衛星を個別受注品として長期間かけて造るのではなく、主要部品と工程を共通化し、生産ラインで繰り返し製造する点が中核となる。
年産100機と100kW級Giga Classへの拡張
同社は今後24〜48カ月、受注済みの大型コンステレーションを計画通り納入することを優先する。次回の「Trinity」ミッションでは、2027年第2四半期に複数の衛星を打ち上げ、低軌道、中軌道、静止トランスファー軌道での運用と長距離光通信網を検証する計画である。
共同創業者兼CEOのKaran Kunjur氏は、今回の資金で年産100機に向けた拡張を加速すると述べた。共同創業者兼CTOのNeel Kunjur氏は、2028年後半に100kW級の「Giga Class」を投入し、大規模な軌道上計算基盤の土台とする方針を示している。
参考文献:
※1:K2 Space Raises $500M Series D at $6.8B Valuation to Scale Large, High-Power Satellites( リンク)
※2:同社HP( リンク)
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