InCharge Energy、4,600万ドル調達 EV充電からエネルギーインフラ運用へ拡大
EV充電インフラから電力設備の運用・保守までを支援する米InCharge Energyは、4,600万ドルの戦略投資を獲得した。 ラウンドはS2G Investmentsが主導し、QICも参加した。同社は北米でEV充電およびエネルギーソリューションを提供する企業で、今回の資金はEV充電にとどまらず、電気インフラや分散型エネルギーリソース領域への拡大に充てる。
同社は、EV充電、電気・照明設備、分散型エネルギーソリューションを一体で提供するフルライフサイクル型のエネルギーインフラ企業だ。構想・設計・建設から長期運用・保守までを支援し、顧客設備の信頼性向上や総保有コストの削減を目指している。
充電器の販売ではなく「稼働率」を支える
今回のポイントは、同社を単なるEV充電器の提供会社ではなく、エネルギーインフラの運用会社として見る点にある。EV充電器の設置台数が増える一方で、既存設備は老朽化し、信頼性の確保が課題になっている。同社はそこに、ソフトウェアと保守網を組み合わせた運用基盤を提供する。
EV導入が進むと、配送会社、学校区、自治体、商業施設などは、車両だけでなく充電器、電力設備、保守、ソフトウェアまで管理しなければならない。S2Gは、こうした事業者が複数のベンダーをつなぎ合わせる負担を抱えている点を課題として指摘している。
同社の狙いは、この分断を一つの運用レイヤーにまとめることだ。同社は北米最大級のマルチブランドEV充電器サービス網を構築し、3万以上の管理資産を抱える。EV充電を入口に、顧客の電気設備全体を継続的に管理する存在へと広がろうとしている。
InControlで充電・電力設備を一元管理
技術面の中核は、自社ソフトウェアのInControlだ。InControlは、EV充電インフラ向けにリアルタイムの充電器可視化、ネットワーク管理、遠隔診断、継続監視、AIによる問題解決、フリート運用支援、エネルギー監視、性能最適化を提供する。
重要なのは、ソフトウェアだけで完結しない点だ。InControlは24時間365日のネットワーク運用センター、サポート運用センター、全国のフィールドサービス組織と直接つながっている。これにより、同社は充電器トラブルの約80%を遠隔で解決し、必要な場合は自社技術者が現地対応する。
さらにInControlは、EV充電器だけでなく、蓄電池、太陽光、変圧器、開閉装置、配電設備、照明などの履歴や保守契約、保証、予防保全も管理対象に含める。つまり、同社の技術的な特徴は、充電器管理ソフトではなく、分散するエネルギー資産を一元管理する運用OSに近い点にある。
「壊れたら直す」運用から、予防型の運用へ
同社のRich Mohr CEOは、「EV充電は入口だったが、顧客はより複雑なエネルギーインフラの運用支援を必要としている」と述べた。今回の投資により、同社はフルエネルギーソリューション企業への進化を加速し、より高度な技術と全国規模のサービス能力を強化する。
資金は、全国フィールドサービス部門の拡大、主要市場での技術者増員、InControlプラットフォームの開発加速、そしてEV充電を超えたエネルギーソリューションへの展開に使われる。これは、同社が設備の設置会社から、稼働後の運用・保守まで担う長期パートナーへ移行する動きだ。
S2GのBala Nagarajanマネージングディレクターは、充電器や分散型エネルギー資産の導入基盤が拡大・成熟するほど、信頼性の高いテクノロジー主導のネットワーク運用需要は強まると指摘した。同氏は、業界が「壊れたら直す」保守から、性能を継続管理する予防型の運用へ移る中で、InCharge Energyはその変化を捉える立場にあると評価している。
参考文献:
※1:InCharge Energy Raises $46M to Scale Energy Solutions Platform Across North America( リンク)
※2:同社HP( リンク)
【世界のEV・電池の動向調査やコンサルティングに興味がある方】
世界のEV・電池の業界動向調査、技術調査、新規事業機会の探索、参入戦略立案、パートナー探索などに興味がある方はこちら。
先端技術調査・コンサルティングサービスの詳細はこちら
CONTACT
お問い合わせ・ご相談はこちら