ヒューマノイド開発企業Apptronikが5.2億ドルを調達、Mercedes-Benzの生産現場で活用開始
米テキサス州オースティンを拠点とするヒューマノイド開発企業Apptronikは2月11日、シリーズAラウンドで5.2億ドルを調達したと発表した。出資にはGoogleやMercedes-Benz、カタール投資庁などが参加し、累計調達額は9億ドル超に達する。企業評価額は約50億ドル規模と報じられている。
同社は二足歩行型ヒューマノイド「Apollo」を開発し、工場や倉庫などの産業用途への導入を進めている。報道によれば、Mercedes-Benzの生産現場での活用も始まっており、今回の資金は生産能力拡大や次世代機開発、商用展開の加速に充てられる。
ヒューマノイドは“次世代ロボット”ではなく、“労働のSaaS化”を狙う産業OS競争に
今回の資金調達の核心は、同社がヒューマノイド「Apollo」の量産と商用展開を本格化させる段階に入ったことだ。ロイターが伝える通り、資金は生産能力拡大や次世代機開発に投じられ、既にMercedes-Benz工場での活用も進む。研究企業ではなく、産業実装企業としての位置付けが鮮明になった。
同時に注目すべきは出資者の顔ぶれだ。GoogleやMercedesといった戦略投資家の参加は、単なる財務リターン狙いではなく、AIと製造現場を結ぶ実装基盤を押さえる意図をにじませる。ヒューマノイドは製品競争から、産業基盤の主導権争いへと論点が移りつつある。
評価額は約50億ドル規模とされ、将来の量産販売だけでなく、継続的な労働代替市場への期待を織り込む水準だ。人型ロボットは実験対象ではなく、労働不足を補う現実的な選択肢として資本市場に受け入れられ始めている。
知能拡張ではなく産業現場適応を磨くアプローチ
同社の「Apollo」は、人間と同等のサイズ・可動域を持つ二足歩行ヒューマノイドで、既存の工場や倉庫環境でそのまま稼働できる構造を採る。双腕と多関節ハンドを備え、人間向けに設計された設備や通路に適応する機構設計が前提となっている。
制御面では、視覚センサーと力覚制御を統合し、物体認識から把持、搬送までを一連の動作として最適化する。固定プログラム型ではなく、AIを活用した環境認識と動作計画により、配置変化や作業条件の揺らぎにも対応可能な柔軟性を持たせている。
家庭やサービス領域まで視野に入れる汎用型ヒューマノイド(当社でも紹介したFigure 03など)が知能拡張を前面に出すのに対し、Apolloは産業環境での安定稼働に重心を置く。汎用性を保ちつつも、まずは構造化された現場で確実に機能する設計思想が技術の中核にある。
実証から常設運用への移行
報道によれば、CEOのJeff Cardenas氏は、今年から来年にかけて工場や倉庫での導入を拡大していく方針を示している。焦点は研究段階の実証ではなく、実際の産業現場での稼働実績を積み上げることにある。
同社は製造・物流用途を主眼とし、Mercedes-Benz工場での活用も進んでいる。まずは比較的構造化された環境で信頼性を確立し、導入モデルを固める戦略が読み取れる。
Cardenas氏は将来的に家庭や介護分野への展開可能性にも言及しているが、現時点では産業用途が中心だ。ヒューマノイドの拡張は段階的に進める方針を示しており、まずは工場での実装密度を高めることが優先課題となる。
参考文献:
※1:Humanoid startup Apptronik raises $520 million with backing from Google and Mercedes-Benz( リンク)
※2:Figure社が第3世代ヒューマノイドロボット「Figure 03」を発表( リンク)
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