建機の自律運転システムを開発するBedrock Roboticsが119億円を調達。50万人の米建設業界での人材不足に対応

建機の自律運転システムを開発する米Bedrock Roboticsは2025年7月16日、シード資金調達ラウンドおよびシリーズA資金調達ラウンドを完了。$80m(約119億円)を確保した。また、この資金調達を機に、ステルス状態(存在を秘匿としたまま起業すること)から脱している。
Bedrock Roboticsは2024年、カリフォルニア州サンフランシスコで設立。後述するように、Waymoの元メンバーが中心となって活動するスタートアップだ。
数時間で装着できる後付けの自律運転デバイス
先進国の少子高齢化が進む中で、特に人材不足に悩む業界が、建設業だ。Bedrock Roboticsによると、米国の建設業では50万人の人材が不足しているという。日本国内においても、20万人程度の人材不足が生じていると試算されている。
そこで、対策の一つとなるのが、作業の自動化。Bedrock Roboticsは、建機に後付けのデバイスを装着することで、自律運転を可能にする。
後付けデバイスということは当然、既存のパワーショベルなどの建機を手動運転から自律運転へと切り替えが可能。また、デバイスの装着にかかる時間は「数時間」で済むとしており、作業、建設業者の事業全体への悪影響をできるだけ小さく留める。
デバイスには、カメラ、LiDAR、GPSなどが付いており、運転室上の屋外に取り付け。さらに、運転室内にはコンピューターを置き、室外のデバイスと接続する。
Bedrock Roboticsの企業紹介動画
Bedrock Roboticsの共同創業者兼CEOは、Boris Sofman氏。同社創業前はWaymoに在籍し、自動運転トラックのプロジェクトの責任者を務めた。なお、このプロジェクトは現在、終了しているという。
また、今回の資金調達を伝えるTechCrunchによると、Sofman氏はAnki Roboticsの共同創業者兼CEOとしての方がWaymoのキャリアより知られていると、言及している。Anki Roboticsが開発した「Cozmo」は、コンシューマー向けロボットとして人気があったためだ。
Bedrock Roboticsはシステムの開発に当たり、米国内のSundt Construction、Zachry Construction、Champion Site Prepといった建設会社やCapitol Aggregatesという建設資材会社と、協力体制を築いている。
NVIDIAのCVCが参加
今回の資金調達には、NVIDIAのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)である、NVenturesなどが参加した。
資金の使途は明言していないものの、開発に利用するものと見られる。とりわけ、資金調達を伝えるプレスリリースでは、建設業者が24時間体制で作業が進められるようにするとの開発の方向性に言及があった。
Sofman CEOは、次のように抱負をコメントした。
「建設業界は、新規工場やデータセンターの需要の急増、住宅危機、そして米国における再工業化の義務化など、大きなプレッシャーに直面している。この状況を乗り越える唯一の方法は、建設チームに対して信頼できる高度な自動化技術を提供することだ。
業界のパートナーと共に、自律性とインテリジェンスで建設を加速させる新しい時代を切り開き、請負業者と社会の双方に利益をもたらしていく」
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