ZincFive は、ニッケル亜鉛(NiZn)電池を用いたバックアップ電力システムを提供する企業である。主力の UPS ソリューションは、安全性と高出力を特徴とし、電力安定性が求められるデータセンターや重要インフラ向けに採用されている。同社は NiZn 技術を軸に、既存バッテリーの代替となる信頼性の高い電源を提供することを目指している。
同社はシリーズFで 3,000万ドルを調達し、累計調達額は 2.54億ドルに達した。今回のラウンドは応募超過の上で完了しており、NiZn 技術への評価が反映された形となる。調達資金は製造能力の拡大と商用展開の加速に充てられ、需要が高まるバックアップ電力市場での成長を後押しする計画だ。
信頼性と安全性が求められるバックアップ電力に対し、NiZnを利用
データセンターや重要インフラでは、停電や電圧変動時にもサービスを維持するため、瞬時に作動するバックアップ電源が欠かせない。しかし、従来主流の鉛蓄電池は寿命やメンテナンス負荷が大きく、リチウムイオン電池は安全性や温度管理の面で課題が残る。電力需要が急増する中、より安全で高出力、かつ運用しやすい電源を求める声が高まり、現行バッテリーではニーズを十分に満たしきれない。
同社は、ニッケル亜鉛(NiZn)電池を用いた UPS ソリューションを提供し、既存バッテリーの弱点を補うアプローチを展開している。NiZn は高い安全性と放電性能を併せ持ち、停止が許されない電源用途に適している。さらに、製造拡大と商用展開を進めることで、データセンターなど需要が急増する分野へ迅速に供給できる体制を整備し、信頼性・パフォーマンス・安全性を両立している。
安全・高出力・省スペースを実現するニッケル亜鉛電池の仕組み
ZincFive の中核技術であるニッケル亜鉛(NiZn)電池は、発火しにくく過熱事故のリスクが低い化学特性を持つ。加えて、高い出力性能を備えているため、停電時に瞬時の電力供給が必要なバックアップ用途に向いている点が大きな強みとなっている。
NiZn電池は構造がシンプルで、鉛蓄電池より軽量・小型に設計できることも特徴だ。設置スペースを最小限に抑えられるため、都市部のデータセンターや制約の多い設備環境でも柔軟に導入できる。また、有害物質が少なく、使用後のリサイクルもしやすい点で環境負荷を抑えられる。
同社はこのNiZnの特性を活かし、短時間で高出力を必要とする電源バックアップ用途に向けたシステムを設計している。電圧の安定性、瞬時応答、耐久性を重視した構成により、重要インフラ分野で求められる信頼性を支える電池技術として位置づけられている。
量産体制強化で、AIデータセンター向けの本格普及を目指す
ZincFive は今回のシリーズFで3,000万ドルを調達し、累計調達額を2.54億ドルに拡大。これを受け、AIデータセンターなど急増する高負荷電源ニーズに応えるため、NiZn電池の製造能力と商用展開の加速に注力する。
CEO Tod Higinbotham は「技術実証段階を脱し、大手データセンター事業者からの契約需要に応えるフェーズに移行する」とコメント。今回の資金は量産体制強化と、顧客との契約履行能力向上に使われる見込みだ。
参考文献:
※1:ZincFive Raises $30 Million in Oversubscribed Series F Financing to Power the Data Center Infrastructure Behind the AI Boom( リンク)
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