Ripple Foods は、エンドウ豆由来の植物性プロテインを用いた代替乳製品・食品を展開する米国企業である。主力製品は植物性ミルクやプロテイン飲料で、乳製品と同等の栄養価を保ちつつ、環境負荷やアレルゲンへの配慮を特徴とする。同社独自の製法により、植物由来でありながらクセの少ない味わいと高たんぱく設計を実現しており、健康志向やサステナビリティ志向の消費者を中心に市場拡大を進めている。
同社は今回、事業成長の加速を目的に 1,700万ドル(約25億円) の資金調達を実施した。このラウンドには Material Impact と Rich Products Ventures が新規出資として参加し、既存投資家である S2G Ventures、Prelude Ventures、Fall Line Capital、Euclidean Capital、Tao Capital Partners、Tim Koogle も継続支援した。
調達資金はオーガニック植物性ミルクの投入、既存商品と子ども向けラインの拡大、小売・食品サービスチャネルの強化など、成長戦略の実行に充てられる予定である。
環境配慮と栄養価を両立する次世代植物性食品のアプローチ
植物性食品市場は拡大を続ける一方で、味や食感、栄養価への期待水準は年々高まっている。特に代替乳製品では、動物性乳製品と同等のたんぱく質量や栄養バランスを保ちつつ、クセの少ない味わいを実現することが難しい。また、環境配慮やアレルゲン対応といった付加価値を求める声も強く、製品開発・ブランド構築・流通拡大を同時に進めなければ競争優位を維持できないという点もある。
同社は、エンドウ豆由来プロテインを用いた独自製法により、高たんぱくで乳製品に近い味わいを実現している。植物性でありながらアレルゲンへの配慮や環境負荷低減を両立し、健康志向とサステナビリティ志向の双方に応える製品設計を強みとする。今回の資金調達を通じて、オーガニック製品や子ども向けラインの拡充、小売・フードサービスでの展開を強化し、品質と市場浸透の両立を図る方針だ。
エンドウ豆プロテインを軸に、味・栄養・使いやすさを両立する食品設計技術
同社技術の中核は、エンドウ豆由来の植物性プロテインを基盤とした原料設計にある。エンドウ豆は主要アレルゲンを含まず、環境負荷も比較的低い原料である。同社はこの特性を活かして高たんぱくかつ低糖質な栄養設計を実現している。乳製品の代替として求められる栄養価を確保しつつ、幅広い消費者が安心して選べる点が技術的な土台となっている。
一方、植物性食品で課題となりやすい風味や食感については、独自の製法で対応している。エンドウ豆プロテインを微細化し、最適な配合を行うことで、豆特有のクセを抑え、乳製品に近い滑らかな口当たりを実現した。これにより、植物性ミルクに馴染みのない層や子どもでも受け入れやすい品質を確保し、日常的に利用できる食品としての完成度を高めている。
さらには、用途に応じた製品設計を重視している。家庭用の植物性ミルクに加え、プロテイン飲料や子ども向け製品など、利用シーンごとに栄養バランスや味を調整したラインアップを展開している点が特徴だ。小売からフードサービスまで幅広いチャネルに対応できる設計とし、今後はオーガニック製品など新たな製品群の拡充も進めていく方針である。
新CEO体制の下で、製品拡充と流通強化により次の成長段階へ
同社は今回の戦略的資金調達を機に、製品ラインアップと市場浸透の両面で成長を加速させる方針を示している。調達資金は、オーガニック植物性ミルクの新製品投入や既存製品の改良、子ども向け製品の拡充などに充てられる予定だ。加えて、小売およびフードサービスチャネルでの展開を強化し、より多くの消費者に製品を届ける体制を整える。
同時に、新たに CEO を任命し、経営体制を刷新した。新 CEO は食品・消費財分野でのブランド成長や事業拡大の経験を持ち、「Ripple を次の成長フェーズへ導く」とコメントしている。製品品質とブランド価値を軸に、競争が激化する植物性食品市場での存在感を高め、持続的な成長基盤の確立を目指す考えだ。
参考文献:
※1:Ripple Foods Announces Strategic Financing to Accelerate Growth and Appoints New CEO( リンク)
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