仮想空間で現場を再構成し、最適な動作指令を生成する制御技術
同社の中核技術「MujinOS」は、ロボット、AGV、保管ロボット、センサなど多様な機器を共通アーキテクチャで統合制御するプラットフォームである。従来は機器ごとに個別設定やインテグレーションが必要だったが、MujinOS により動作ロジックを一元管理でき、複雑な自動化でも短期間で立ち上げられる。機器間の協調動作を標準機能として扱える点が大きい。
MujinOS は、現場をデジタルツインとして常時再現し、稼働データをリアルタイムに解析して自動で最適化する。動線や負荷、在庫の変化を即座に反映し、最適な制御指示を出すため、管理者による細かな調整はほとんど不要になる。問題の早期検知や工程のボトルネック可視化にも強みを持ち、止まりにくい運用を支える。
さらに MujinOS は、デパレタイジングやピースピッキングなどのアプリケーションをテンプレート化し、複数拠点へ迅速に複製・展開できる。共通アーキテクチャにより動作の再現性が高く、現場ごとの大幅な調整を必要としないため、企業は自動化を短期間で横展開できる。拠点間の品質差を抑え、スケールしやすい自動化基盤となっている。
MujinOS の標準化と拡張で自動化を加速し、欧米中心にグローバル展開を加速
同社は今回の資金調達で、MujinOS を中心とした「製品主導型の自動化事業」へ本格的に移行する。CEO の 滝野一征氏は、「これまで解決できなかった現場の複雑な課題を、MujinOS が統合的に解消する段階に来た」と述べ、標準化された高性能アプリケーションの拡充と、短期間で導入できるスケーラブルなモデルの強化を進める方針を示した。
また、同社は工場・倉庫のデジタルツイン化を推進し、在庫把握・稼働率改善・早期異常検知などリアルタイム運用領域をさらに強化する。COO の Gilgur氏は「グローバル需要が急増しており、サポート体制とパートナーネットワークを拡大する」とコメントし、欧米を中心とした事業拡大に重点を置きつつ、安定操業と高稼働率を支える自動化基盤の提供を加速していく方針である。