従業員の健康状態可視化サービスを提供するAxenyaが1,200万ドルの資金調達を発表

ブラジルのヘルスケアスタートアップのAxenyaが、2025年8月28日に、1,200万ドルの資金調達を実施したことを発表した。ブラジルにおける医療分野の初期段階の資金調達としては最大級の規模となる。
今回の資金調達ではCanaryがリード、Indicator Capitalが共同リード、Zentynelが参加している。(以前のラウンドではPatria High Growth、Big_Bets、Zentynelなどの参加を得て、680万ドルを調達している。)
ブラジル医療保険制度において、企業医療費負担の削減を目指す
ブラジルには全国民が無償で利用できる公的医療制度SUSが存在するが、待機時間や質のばらつきにより私立医療機関への需要が高い。そのため企業は従業員の福利厚生として民間保険を提供し、人材確保や生産性維持を図っている。
2020年にマリアノ・ガルシア=ヴァリニョ氏によって設立されたAxenyaは、この環境下で企業の医療負担を下げることを目的としたデジタルヘルス・プラットフォームを提供している。同社はAIやビッグデータを活用し、アプリやウェアラブルから得られる健康データを統合して医師の診療に反映させる。
これにより予防的な介入と診療の高度化を可能にし、従業員の健康を促進することで、企業の医療費負担の削減を実現している。
AIを用いて複数データを分析し健康状態を可視化
同社技術の核はAIを用いた複数データ分析とフェイススキャン技術である。
健診結果や生活習慣、行動データなど40種類以上の情報を集約し解析することで、将来の健康リスクを予測する。これにより、一人ひとりに適した健康プランを提示できるとともに、企業単位で従業員の健康課題を把握することも可能となる。
また、スマートフォンでセルフィーを撮影するだけで血圧や代謝、ストレスなど30以上の健康指標を非侵襲的に取得し、AIがその場で健康状態をマッピングすることも可能。簡単に健康状態を把握できる仕組みにより、体調変化を早期に察知し、生活改善や予防的介入につなげられる。
特に医療費負担の大きい慢性疾患を抱える従業員に対して効果が出ており、処置あたりのコストを48%削減し、これは企業全体の医療費の7%に当たる。
患者に寄り添ったサービス開発を進める
同社のブログ記事内でCEOマリアノ・ガルシア=ヴァリーニョ氏は以下のように語った。
「AIは大きな可能性を持つが、それ自体が目的ではない。人々の健康と生活を良くするために活用すべき。市場ではAIが過大評価されがちだが、同社は必要な時に必要な形で導入することを重視する。」
さらに「患者は重要な局面で人との関わりを求める。だからこそ技術と人間の調和が不可欠だ」と強調。
ラテンアメリカ最大のディープテックファンドであるIndicator Capitalが出資に加わったことでAIを含む技術開発は一層進むと考えられるが、同社CEOのインタビューから「人と人との関わり」を重視した開発を進めていくと考えられる。
参考文献:
※1:Axenya Raises US$12 Million to Scale AI-Driven Corporate Health Platform with Predictive Dat( リンク)
※2:同社公式HP(リンク)
※3:AI and Health: a balanced perspective(リンク)
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