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創薬統合プラットフォームを提供するTandemAIがシリーズAの追加ラウンドで2,200万ドルを獲得

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TandemAI は、AI と物理ベースの計算、さらには実験ラボ(wet lab)を統合した創薬プラットフォームを提供する企業だ。創薬の各工程(標的探索、候補化合物の絞り込みから前臨床候補の選定まで)を一つのワークフローで可能にする。この統合型アプローチにより、グローバル製薬企業を含む150以上のパートナーと協業し、すでに複数の候補化合物を臨床開発段階に送り出している。

同社は2025年11月にシリーズA延長ラウンドで 2,200万ドル を調達した。これにより、創業以来の累計調達額は 8,000万ドル超 に達した。今回のラウンドには既存および新規投資家が参加し、同社のプラットフォームの信頼性と成長性に対する投資家の期待が示された。

探索から評価までを一体化し、創薬効率を高める統合プラットフォーム

新薬の開発では、標的探索から化合物の設計、実験、前臨床評価まで、多くのステップと膨大なデータ管理、実験コスト、時間が必要だ。有望な候補を見つけても、失敗のリスクが高く、時間やコストが無駄になる可能性がある。こうした複雑かつ非効率な創薬プロセスが、医薬品の開発を遅らせ、希少疾患や新規標的への挑戦を難しくしてきた。

同社は、独自の創薬プラットフォームとSaaSツール「TandemViz」を通じて、計算(AI/物理ベース モデリング)と実験(wet-lab)を統合。標的探索から候補化合物の最適化、評価までを一貫で扱える。これにより、膨大な仮想化合物の高速スクリーニングやデータ管理の効率化を実現し、従来より短期間かつコストを抑えた創薬を可能とする。複数モダリティ(小分子やペプチドなど)にも対応しており、幅広い創薬ニーズに応える体制を整えている。


膨大な化合物から有望候補を効率よく選び出すための計算×実験技術

同社の技術の中心には、AI と物理ベース計算を組み合わせた高精度の in-silico 創薬基盤がある。分子生成や最適化をAIで行い、その候補について結合親和性、立体構造の安定性、ADMET などを物理シミュレーションで予測することで、膨大な仮想化合物を短時間で評価できる。これにより、初期段階から精度の高いスクリーニングが可能になり、実験に進めるべき候補を迅速に絞り込める点が特徴だ。

こうして選ばれた分子は、同社が持つ実験ラボ(wet lab)で合成・試験されるが、ここでもプラットフォームの統合性が活きている。設計から合成、評価、データ取得までの一連の工程を同じワークフロー上で管理できるため、従来のように計算部門と実験部門のデータが分断されることがなく、手戻りや情報ロスを大幅に抑えることができる。小分子だけでなく、ペプチドや複合モダリティにも対応できる柔軟性も備えている。

さらに、同社のプラットフォーム「TandemViz」はクラウド対応、ユーザーは特別なハードウェアを準備せずに高度な創薬計算環境を利用できる。セキュリティやアクセス管理も組み込まれており、複数拠点の研究者や外部パートナーとの共同研究にも適している。こうした拡張性とデータ管理の堅牢性により、企業規模を問わず使用できる創薬基盤として運用されている。


創薬ワークフローの拡張とパートナー連携強化で事業を拡大

同社は今回の資金調達を受け、計算創薬と実験ラボを組み合わせた自社プラットフォームの拡張を進める方針を示している。とくに、より多くのパートナー企業が利用できるように運用規模を広げる。また、複数モダリティ(小分子だけでなく、ペプチドや抗体ペプチド複合体など)に対応した創薬ワークフローの整備を加速させる。これにより、創薬初期の化合物探索から候補選定までのプロセスを、より高精度かつ再現性の高い形で提供する体制を整える狙いがある。

さらに、同社はパートナー企業が使うデータ管理や進捗管理の使い勝手を改善し、プロジェクトの透明性と速度を高める方向性も打ち出している。CEO の Tim Bates 氏は「今回の投資は、TandemAI のプラットフォームが世界中の創薬をより現実的かつ実用的な形で支援できるという信頼の表れだ」とコメントしており、今後は製薬企業やバイオテックとの連携拡大を軸に、さらなる採用拡大を目指す。

参考文献:
※1:TandemAI Closes $22M Series A Extension Round to Accelerate AI-Driven Drug Discoveryリンク



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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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