ロボットによるフルサービス警備を行う米AsylonがシリーズBで35億円を調達。四足歩行ロボットとドローンがサービスの主体

ロボットによる警備を行う米Asylon(Asylon Roboticsという名でも知られる。正式社名はAsylon)は2025年7月22日、シリーズB資金調達ラウンドでの$24m(約35億円)の確保を発表した。
同社は2015年、GE AviationやBoeingに在籍したDamon Henry CEO、同じくBoeing出身のAdam Mohammed CTO、ジョンズ・ホプキンス大学に在籍したBrent McLaughlin COOにより設立。ペンシルベニア州フィラデルフィアに本社を置く。
ロボットとともに生身の人間が常時監視
近年、日本国内でもオフィスビルや多くの人が集まる施設で警備ロボットを目にする機会は、珍しくなくなった。そうした環境下で、一定額の資金調達を実現できるほどAsylonが注目を集めるのは、なぜか。
それは「境界警備」に重点を置いた企業であること、そしてフルサービスの警備をする企業であることが、挙げられそうだ。
境界警備とは、文字通り警備を任された区域の境界部を警戒すること。人によって行われる場合があるし、境界部にセンサーなどを設ける場合もある。
そしてAsylonの場合、境界警備をロボット「DroneDog」と「Guardian」によって行う。DroneDogは四足歩行型ロボットで、平均90分の運用が可能。複数台の運用を想定したアプリケーション設計となっている。一方、Guardianはドローンだ。こちらは、DroneDogの境界警備を受け、緊急事態が起こった際に発進。米連邦航空局(FAA)の承認を受けた上で、現場に操縦者がいなくても自動的に飛行を行う。また、DroneDogと同様に複数台の同時運用、同時飛行も可能となっている。
DroneDogとGuardian(Asylonメディアキットより)
また、Asylonがウェブサイトに掲載している運用の概念図をご覧いただきたい(リンク先、上の方にあるイラスト)。ロボットは、警備場所のWi-Fiと見られる電波や、LTE、すなわちモバイル回線と接続することが分かる。回線の先にあるのは、クラウドだ。さらに、同じクラウドにはオペレーションセンターも接続している。
オペレーションセンターでは、人間のスタッフが24時間365日、監視を実施。また、FAAの認定を受けたドローンパイロットも詰めているという。
先ほど、緊急事態時にドローンであるGuardianが発信すると記したが、カメラによる監視以外で何をするのかまでAsylonは言及していない。しかし、オペレーションセンターでその状況を把握することから、少なくとも法執行機関へ詳細な内容まで含めて通報していることはうかがえる。
この点では、日本の機械警備会社と同様の「フルサービス」の警備を行っているといえるだろう。もちろん、DroneDogとGuardianが収集する情報は、従来の機械警備以上に価値を生み出せる場合があることも想像に難くない。
資金調達の1週間前にあたる7月15日には、これまでの自動警備ミッションが25万件に到達したこと、全米でDroneDogが巡回警備した距離が15万マイル(24万キロメートル)を超えたことを、Asylonは発表した。
資金は耐障害性の向上など開発に活用
シリーズBは、複数のベンチャーキャピタル(VC)が参加した。資金は、開発などに利用する。
AsylonのHenry CEOは、次のようにコメントした。
「今回の資金調達により、事業規模を拡大し、従来のシステムよりもコスト効率が高く、耐障害性に優れた、自動化されたテクノロジーを活用したセキュリティサービスを提供できるようになる。Asylonは、インテリジェントセキュリティが例外ではなく当たり前となる未来を創造していく」
【世界のロボティクスの技術動向調査やコンサルティングに興味がある方】
世界のロボティクスの技術動向調査や、ロングリスト調査、大学研究機関も含めた先進的な技術の研究動向ベンチマーク、市場調査、参入戦略立案などに興味がある方はこちら。
先端技術調査・コンサルティングサービスの詳細はこちら
CONTACT
お問い合わせ・ご相談はこちら

