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Samsung ElectronicsがデジタルヘルスアプリのXealthを買収し、ウェアラブルデータと臨床現場の接続を強化

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Samsung Electronicsは、スマートフォンやウェアラブルを軸にデジタルヘルス領域へ展開を強化している。一方のXealth(米・シアトル)は、医療機関がデジタルヘルスアプリを統合的に処方・管理できるプラットフォームを提供する企業で、EHRと連携し500超の病院で運用されている。

2025年10月、Samsung ElectronicsはXealthを完全買収し、医療・ヘルスケア分野での事業基盤を強化したことを発表。本買収により、SamsungのデバイスエコシステムとXealthの医療プラットフォームを統合し、在宅から臨床までのデータ連携を加速する。取得額は非公開だが、両社はグローバル規模での予防医療・遠隔ケアの拡張を視野に、医療データの相互運用性とAI活用による新サービス創出を推進する。


データ連携を軸とした統合戦略

買収後、SamsungはXealthの既存プラットフォームを基盤に、自社デバイスから得られる生体データを臨床システムへ安全に統合する枠組みを整備する。特に、慢性疾患患者の遠隔モニタリングや在宅治療の支援に向け、医療機関が患者データをリアルタイムで取得・分析できる仕組みの開発を進めている。これにより、医師・患者間のデジタル介入の質と即応性の向上が期待される。

また、Samsungは本統合を通じて、医療現場におけるデータ活用とAI解析の実装を加速する計画を示している。Xealthの医療ネットワーク上で蓄積される多様な臨床データを、SamsungのAI技術と組み合わせることで、個人の健康状態に応じた介入提案や予防支援を可能にする構想だ。これにより、医療現場・生活空間・AI基盤が連動する新しいヘルスデータ循環モデルの構築を目指す。

医療現場への展開と価値拡張

両社は今後、米国を起点にアジアや欧州への展開を計画し、地域医療システムとの連携を強化する方針を掲げている。特に日本・韓国市場では、在宅医療や高齢者ケア分野での共同実証を視野に入れており、行政・医療機関・保険事業者との協働による社会実装を模索する。グローバル規模で「予防・診断・介入」を一体化する持続的なケアモデルの確立を目指す。


参考文献:
※1:Samsung Electronics Completes Acquisition of Xealth, Accelerating Connected Care(リンク



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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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