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自動運転ソフトウエアの米Applied IntuitionがシリーズFで866億円を確保。Porsche、いすゞなどが顧客

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自動運転ソフトウエア開発の米Applied Intuitionは2025年6月17日、シリーズF資金調達ラウンドでの$600m(約866億円)の確保を発表した。

Applied Intuitionは2017年、Y CombinatorのCOOなどを務めたQasar Younis CEOと、Googleの自動運転プロジェクトでマネージャーを務めたPeter Ludwig CTOにより設立。Googleと同じシリコンバレーのマウンテンビューに本社を置く。

トラック、防衛分野にも注力

同社が開発するプロダクトは、3つの分野に大別できる。「自動運転OS」「自動運転ソフトウエア」「次世代自動運転などのためのインテリジェンスツール」だ。

中でも自動車OEMにとって、とりわけ重要度が高いのは、OSであるだろう。「Vehicle OS」と名付けられ、車のハードウエア・ソフトウエアの基盤となる他、搭載車両群からのデータ収集や保守、開発環境を提供するOSとなっている。また、AIを搭載し、アプリケーションの構築やユーザーエクスペリエンスの向上に活用する。

すでに、ハードウエアとしての自動車との連携も進む。Applied Intuitionは「自動車メーカー上位20社のうち18社から信頼」を得ているとアピール。顧客として挙げているメーカーなどは、次の通りだ。

  • トヨタ自動車
  • 日産自動車
  • Porsche
  • いすゞ自動車
  • Torc(自動運転トラック開発)
  • Volkswagen Group
  • Valeo(自動車部品)
  • Kodiak(トラック、防衛用途の自動運転)
  • May Mobility(自動運転ソフトウエア開発)
  • Luminar(LiDAR)
  • National Instruments(計測器など)

現状、自動運転というと2025年6月からTeslaがロボタクシーの運行を始めたように、移動手段の一種として、あるいは、一般の乗用車の自動化を思い浮かべる。しかし、上記のリストにいすゞやTorc、Kodiakが入っているように、トラックなど産業用途で活用していこうという姿勢がうかがえる。

Applied Intuitionといすゞの協業に関する広報動画

また、Applied Intuitionのブログには、2025年初頭に米陸軍幹部が同社を訪れ、自動運転について議論。その10日後には、歩兵部隊用の車両を自動運転化した上で納品したエピソードが掲載されており、防衛用途に展開したいとの意向も強いと見られる。

「AIであらゆるものを動かす」とCEO

シリーズFは投資会社とベンチャーキャピタル(VC)が主導。他、中東の政府機関やエンジェル投資家のElad Gil氏などが参加した。また、投資家間の株式取引も同時に行われたと見られる。

資金は、プロダクトの拡張や組織への投資に利用するとしている。

Younis CEOは、次のようにコメントした。

「Applied Intuitionは新たな時代を迎えている。私たちは、あらゆる動く機械にインテリジェンスを導入するための投資を拡大する。自動車・トラックからドローンや工場まで、あらゆるものがAIによって動かされるようになるだろう。

私たちの使命は、AIとそれが変革する現実世界をつなぐことだ」




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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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