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自律型レンガ積みロボットを開発するMonumentalが3,200万ドル調達 欧州展開と米国進出を加速

オランダ・アムステルダムを拠点とするMonumentalは、建設現場でレンガ積みを行う自律型ロボットと、その運用ソフトウェアを開発する企業である。2021年にSalar al Khafaji氏とSebastiaan Visser氏が設立し、ロボット本体、制御ソフトウェア、カメラを用いた認識・位置推定技術までを社内で一体開発している。

同社は2026年7月15日、シリーズBで3,200万ドルを調達した。Khosla Venturesが主導し、既存投資家のPluralやHummingbird Venturesなどが参加した。累計調達額は6,000万ドルを超える。資金はハードウェア・ソフトウェア技術者の採用、欧州と英国でのロボット導入拡大、米国市場への進出、対応可能な施工業務の拡張に充てる。

ロボットを売らず、完成した壁を納品

同社の特徴は、建設会社にロボットを販売・貸与するのではなく、レンガ工事を請け負う専門業者として現場に入る点にある。建設会社は機械を購入したり、操作要員を育成したりする必要がなく、通常の施工会社と同様に、完成した壁と工程に対して料金を支払う。ロボット導入に伴う運用や保守の負担を同社が引き受けることで、建設会社が新技術を採用する際の障壁を抑えている。

建設現場は、床面の傾きや資材の配置、天候、建物ごとの形状などが異なり、工場のように設備や動線を固定しにくい。大型の専用機を1台導入する方式ではなく、小型の電動ロボットを複数配置し、現場に合わせて組み合わせることで、既存の施工工程に入り込みやすくしている。ロボットは作業位置や施工順序、機体間での作業の受け渡しを調整しながら壁を構築する。

同社のロボットは、オランダと英国で住宅100戸超のほか、学校、地域施設、ホテル、商業施設、アムステルダムの運河護岸などに使われてきた。今回の調達は、研究開発段階の試作機を増やすというより、すでに施工実績を持つロボット群を各地の現場へ展開するための資金という側面が強い。建設ロボットを「機械製品」ではなく、施工能力そのものとして提供するモデルの拡大が焦点となる。

図面と現場のずれを補正する施工基盤

同社のロボット群を制御する中核が、ソフトウェア基盤「Atrium」である。建築家が指定した壁の形状やレンガ、目地などの条件から施工計画を作成する一方、図面上の情報だけでロボットを動かすわけではない。建設現場の実際の形状や寸法を取り込み、設計データとの差を補正しながら、各ロボットが実行できる作業へ変換する。

建設現場では、床の高さや構造体の位置、窓・扉の開口部などが設計図と完全には一致しない。同社は施工前に、複数の画像から立体形状を復元するフォトグラメトリで現場を計測する。取得した形状を設計モデルと重ね、床や開口部、基準マーカーをもとに誤差を補正したデジタルツインを構築することで、ロボットは図面上の理想的な位置ではなく、実際の構造に合わせてレンガを配置できる。

Atriumは各機体のカメラやセンサーから情報を受け取り、施工区画や段、レンガ単位で作業を調整する。複数台の同時運用に加え、機体の位置や施工進捗を確認しながら、現場の変化に応じて計画を更新できる。加工精度だけに頼らず、機体や現場のばらつきをソフトウェアで吸収することで、条件が一定でない建設現場への対応を可能にしている。

単一工程から施工サービスの拡張へ

今回の資金をもとに、同社は欧州と英国で稼働するロボット群を拡充し、2026年中の米国市場参入を目指す。あわせて、レンガの配置だけでなく、目地仕上げや壁用金物の設置、異なる建材を用いた施工にも対応し、1つの現場で担える工程を増やす方針である。

共同創業者兼CEOのAl Khafaji氏は、建設需要の拡大に対して作業者不足が続くなか、現場で継続的に作業できる機械の必要性を強調した。Khosla Ventures創業者のVinod Khosla氏も、住宅コストが上昇する一方で建設手法の変化は限定的だと指摘している。今後は、現場ごとに条件が異なるなかでも施工品質や稼働率を維持し、ロボットを施工サービスとして横展開できるかが焦点となる。


参考文献:

※1:We raised $32 million to put more robots to work building the world( リンク

※2:同社HP( リンク



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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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