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米防衛装備品開発のAnduril Industriesが$2.5b調達と報道。ラインナップに多様な無人機

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米国の防衛装備品開発スタートアップであるAnduril Industriesが$2.5b(3620億円)を資金調達した模様だ。2025年6月5日、各メディアが報道。公式発表はないものの、AndurilのメンバーがCNBCTechCrunch(TC)に、調達の内容を語っている。

Andurilは2017年、カリフォルニア州で設立。MetaやPalantir、Archerといったビッグテック、スタートアップとの協業も積極的に進める。

参考記事:eVTOL開発の米スタートアップ・Archer AviationがポストIPOで650億円を調達。Anduril Industriesとの防衛用次世代機の共同開発も発表

5月にはMetaとのパートナーシップを発表

従来のスタートアップは、強みを持つ技術やプロダクトに集中する「一点突破型」のビジネスモデルが多く見られた。近年の防衛装備品開発スタートアップでも、先日、資金調達を取り上げた米Shield AIは、自律飛行に焦点を据えている。

参考記事:防衛用無人機開発の米Shield AIがシリーズF-1で358億円を調達。元海軍特殊部隊員らが創業

一方、AndurilはShield AIより2年遅れての設立ながら、複数のハードウエアを開発。今回は、以下はハードウエアとソフトウエアを取り上げる。

  • Barracuda
  • Roadrunner
  • Fury
  • Lattice

Barracudaは自律飛行型航空機(AAV)と位置付けるハードウエアだが、大量生産・大量運用を想定。弾薬を積み、実質的にミサイルと同じ機能を持つ。従来の巡航ミサイルが担っていた機能の代替を目論んでいると見られる。

Roadrunnerは、垂直離着陸(VTOL)型のAAV。「空中脅威を破壊」と説明しており、無人機を含む戦闘機や攻撃機、ミサイルなどに対応するものであるのだろう。また、再利用可能を謳っており、垂直着陸で帰還できる。

Furyは元々、Blue Force Technologiesというスタートアップが開発していた無人機システム(UAS)だ。Andurilが2023年、Blue Force Technologiesを買収したことで、この事業を引き継いだ。「制空権確保ミッションに対応」するとし、従来の有人戦闘機の任務を遠隔もしくは無人で行えるものと見られる。

Furyの2分の1スケールモデル(Andurilプレスリリースより)

防衛装備品開発スタートアップは、こうしたハードウエアとソフトウエアをバンドル(抱き合わせ)で販売する手法を採ることが少なくない。Andurilもそれは同じで、AI搭載型OS「Lattice」で指揮統制を行う。

同社はこの他、自律型水中ロボットも開発しており、海空でのハードウエア展開を目指している。

冒頭で少し触れたMetaとのパートナーシップは2025年5月に発表。AI、XRの分野で協力していくという。

メディア取材に「将来的には上場」と会長

直近の資金調達総額$2.5bのうち、$1b(約1449億円)はPeter Thielが率いるベンチャーキャピタル(VC)のFounders Fundが投資。Founders Fundには、AndurilのTrae Stephens共同創業者兼会長もパートナーとして名を連ねている。

またTCによると、既存投資家も参加したとAndurilの広報担当者が述べている。

前述の通り、まだ公式発表がされておらず、資金の使途も不明。一方、CNBCの取材にStephens会長は「Andurilは上場企業へ成長していくと考えている。しかし、その実現を急いでいるわけではなく、今は目の前のミッションに集中している」とコメントした。




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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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