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配膳・配送ロボットを開発する中国のPudu Roboticsが約1億5000万ドルを調達、 企業価値は15億ドルを突破

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Pudu Roboticsは2016年に中国・深センで設立された商用サービスロボット企業である。飲食店向けの配膳・配送ロボットで知られてきたが、現在は業務用清掃ロボット、産業用搬送ロボット、フィジカルAI領域のロボット開発へと事業を広げている。世界80以上の国・地域で展開し、累計出荷台数は12万台を超える。

同社は新たな資金調達ラウンドで約1億5,000万ドルを調達し、企業価値は15億ドル超に達した。累計調達額は3億ドルを超える。調達資金は、AI技術の統合、製品ポートフォリオの拡大、グローバル展開、製造能力およびサプライチェーンの強化に充てられる。足元では業務用清掃ロボットが成長を牽引している。

配膳ロボットから清掃・搬送へ、主力領域を広げる

同社の特徴は、配膳・配送ロボットで認知を広げた企業でありながら、現在は業務用清掃ロボットを主力事業に育てている点にある。同社によれば、2025年の収益は前年比100%増となり、そのうち業務用清掃ロボットが総収益の70%以上を占めている。事業の中心は、飲食店向けロボットから、より広い商業施設・産業施設向けの自動化へ広がっている。

清掃ロボットが収益の中心になっている背景には、商用ロボットの導入先が実務的な用途へ広がっていることがある。清掃は商業施設、ホテル、病院、工場、倉庫などで日常的に発生する業務であり、人手不足や作業品質の標準化と結びつきやすい。配膳ロボットと比べても、より広い施設管理領域で導入余地を持つ領域といえる。

また、同社は産業用搬送ロボットにも展開している。同社によれば、同製品は市場投入から1年で4,000台以上を出荷した。清掃と搬送はいずれも、施設内で繰り返し発生する物理作業である。同社は単一用途のロボットメーカーではなく、配膳、清掃、搬送、フィジカルAIを横断する商用ロボット企業へと事業領域を拡張している。

自律移動技術を軸に、清掃AIからフィジカルAIへ展開

同社の技術基盤は、屋内外の商用環境でロボットを安定稼働させるための自律移動技術にある。業務用清掃ロボット「PUDU BG1」シリーズでは、LiDARと3D VSLAMを組み合わせた位置推定を採用し、施設内での地図作成、自己位置推定、障害物回避を行う。

清掃ロボットでは、単に決められた経路を走行するだけでなく、床面や汚れの状態に応じて作業を変えるAI機能を打ち出している。BG1シリーズは、3DセンシングとAIコンピューティングにより、濡れた汚れを検知して清掃モジュールを制御したり、洗剤量を床の状態に応じて調整したりする。

また、同社はフィジカルAI領域としてヒューマノイドロボット「PUDU D9」も開発している。D9は42自由度、最大歩行速度2m/s、PUDU DH11と呼ばれる11自由度のロボットハンドを備え、物体操作や対人対応を想定する。既存の清掃・搬送ロボットで培った移動、認識、運用技術を、より汎用的なロボットへ広げる構想といえる。

AI統合・製品拡大・海外展開を軸に成長を加速

今後、同社はAI搭載型ロボットと商用サービスロボットの開発をさらに加速させる方針だ。CEOの張涛氏は、今回の資金調達について「業界におけるリーダーシップ、製品と技術力、グローバルブランド、商業インフラに対する強力な証明」と位置づけている。そのうえで、戦略的投資家や産業パートナーの支援を受けながら、AI搭載型ロボットと商用サービスロボットの限界を押し広げていく考えを示した。

具体的には、AI技術の統合、製品ポートフォリオの拡大、グローバル市場への展開、製造能力とサプライチェーンの強化を進める。同社は「発明家の精神で革新を続ける」としており、清掃・搬送など実用領域での導入を広げながら、フィジカルAI領域への展開を強めていく。単なるロボット販売にとどまらず、世界規模でロボットの普及を加速させ、商用サービスロボット産業の基盤企業としての地位を高めることが今後の方向性となる。


参考文献:

※1:Pudu Robotics Raises Nearly USD 150 Million, Exceeds USD 1.5 Billion Valuation( リンク

※2:同社HP( リンク




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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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