リアルテックグローバル2号ファンド、山田商会ホールディングと共に仮想発電所(VPP)開発・運営企業のBlue Whale Energyへ共同出資

Blue Whale Energy(ブルー・ホエール・エナジー)は、2024年にシンガポールで設立されたクリーンテック企業だ。仮想発電所(VPP)技術を開発し、太陽光発電や蓄電池、EVなどの分散エネルギーを統合制御するプラットフォームを提供する。独自のナトリウムイオン電池とエネルギー管理ソフトウェアにより、電力需給の最適化と脱炭素化を目指す。
2025年9月、Blue Whale EnergyはUntroD Capital Asiaが運営するリアルテックグローバル2号ファンドから出資を受けた。山田商会ホールディングも共同出資者として参画。両社は、同社のVPPプラットフォームやナトリウムイオン電池技術の実装力を評価し、シンガポール発の分散型エネルギー基盤としての成長を支援する。出資金は製品改良や商用展開に活用される予定。
エネルギー供給の不安定化に挑む、分散型インフラの新モデル
シンガポールでは電力の大半を天然ガス輸入に依存しており、価格変動や供給リスクが課題となっている。また再生可能エネルギーの導入が進む一方で、発電量の変動により系統の安定化が難しい状況にある。こうしたエネルギー供給の効率化と脱炭素化という社会的課題に同社は取り組んでいる。
同社は、太陽光発電や蓄電池、EVなど複数の分散型電源をクラウド上で束ね、需給を自動制御するVPP(仮想発電所)技術を開発している。高度な制御アルゴリズムによりリアルタイムで電力需給を最適化し、需要応答(DR)や電力市場取引にも対応。エネルギーコストと二酸化炭素排出量の削減を実現する。
同社は独自設計のナトリウムイオン電池モジュールを採用し、低コストかつ安全性の高い蓄電ソリューションを構築。エネルギー管理システム(EMS)は電池・需要データを解析し、最適な充放電や電力フロー制御を自動実行する。リチウム依存を避ける持続可能な蓄電技術として、商業施設や地域マイクログリッドでの応用を進めている。
東南アジア全域への展開を狙う
同社は、モジュール式屋上バッテリーパックと仮想発電所(VPP)技術を組み合わせ、東南アジア全域で分散型エネルギー網の構築を進める。シンガポールを中心に商業施設や産業エリアでの導入を拡大し、電力網の柔軟性と脱炭素化を実現。
UntroD Capital AsiaのHenry Tao氏は、Blue Whale Energyが東南アジアの分散型エネルギーの未来を体現していると評価。山田商会ホールディングの山田豊久氏は、同社のバッテリーとEMSがコンパクトで導入しやすく、限られた空間で自然エネルギーを最大活用できる点を強調。両社は共同で、強靭で持続可能なエネルギーシステムの実現を支援する考えを示した。
参考文献:
※1:リアルテックグローバル2号ファンド、山田商会ホールディングと共にシンガポール初の仮想発電所(Virtual Power Plant : VPP)を開発・運営するBlue Whale Energy社に共同出資( リンク)
※2:同社公式HP(リンク)
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