CES2026開幕 ~CTAがまとめる現在のテクノロジートレンド~

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今年もCES2026が開幕した。展示会は1月6日~9日の4日間となるが、メディア向けにはMedia Dayというのが2日間設けられており、筆者はMedia Dayから参加している。

毎年Media Dayの一番最初には、CESを運営するConsumer Technology Association(以下CTA)が、毎年のテクノロジーのトレンドをまとめて発表している。今年はどのような内容だったのか、筆者の視点でレビューを行っていく。

CTAが強調した3つのメガトレンド

昨年のCES2025では「テクノロジー支出を牽引するZ世代」や「健康/ウェルネス技術のイノベーション」「エンタープライズ&B2Bの成長」「持続可能性への取り組み」といったキーワードが挙げられていた。

では今年のCES2026のトレンドはどうだったのか。

CTAが強調したのは以下の3つのメガトレンドである。
(和訳はCTAが出しているものではないため、筆者の解釈である)

1. Intelligent Transformation(知的変革)
2. Longevity(長寿)
3. Engineering Tomorrow(未来・明日のデザイン)












Longevity(長寿)についてはよくわかるが、ほかの2つ、Intelligent TransformationとEngineering Tomorrowについてはかなり概念的なため、直観的に理解しにくい。そのため、内容を詳しく見ていこう。

1. Intelligent Transformation:DXの先、主体的に行動するAIへ

近年のデジタルトランスフォーメーションの流れに沿って、多くの企業がDX活動に取り組んできたし、現在も様々なPJTが企業の内部で進行している。

一方でCTAが提示したのは、近年のAIの進化に伴いAIの位置づけが変わってきたことに触れている。

さて、本当の問題は、AIはこれからどこへ向かうのかということです。AIは多様な⽅向性を持つ動的な技術です。⾰新的な取り組みの⼀つに、問題に対応するだけでなく主体的に⾏動するAIへの根本的な転換を⽰すAIがあります。もはや単にメールを書く⼿助けをするのではなく、「今⽇の受信箱を管理してほしい」と頼む時代です。 アクセンチュアのような腕を持つAIエージェントは私たちの代わりに⾃律的に⾏動し、AIを単なるツールからテレビのような存在へと変えています。(講演内容より)

つまり、これまではAIが業務の一部分におけるサポートツールであったところが、AIがタスクごと請負い、判断・提案・行動まで行う存在になってきている。そして、DXの時代ではソフトウェアやシステムが中心であったところが、フィジカルAIの登場によって、その影響範囲を広げていることが伺える。











これらの進化を支える3つの要素として上記の画像にあるように、サイバーセキュリティ・クラウド・AIが触れられていたが、ロボットなどのハードウェアの進化も見逃せない要素だろう。実際に、下記のようにフィジカルAIについては要注目の要素として、多くの人が注目していると講演で述べられている。











2. Longevity:より長く・健康的に・より良い人生を実現する方法

一般にLongevityというと「長寿」となるが、当然ただ長く生きれば良いというものではなく、CTAは「より長く、より健康的に、より良く、より賢く、さらには文化に支えられた人生を実現する方法」として定義している。

この文脈で、「バイオテクノロジーとヘル ステック分野では急速な進歩があった」としている。

講演の中では、GLP-1を起点とする代謝・肥満・生活習慣病エコシステム、精密医療、ウェアラブル、遠隔医療が一体となった姿が描かれた。共通するのは、「病気になってから治す」のではなく、日常の中で健康をマネジメントするという思想である。

実はこのLongevityについては、昨年のCES2025でも同様に言及があり、昨年時には健康/ウェルネス技術のイノベーションとして、さらに上位概念でまとめられていたが、今年は「Longevity」という点にフォーカスがあたっており、より具体的になっている。











事例として紹介されていた3社のデバイスは、どれもCES常連の企業であり、すでにWithingsやOura Ringは多くの人がご存じであろう。Vivooも近年注目を集めてきた企業であり、自宅で簡単に利用できる尿検査キットを展開している。当メディアでも複数回紹介している企業である。

Withingsが今回発表したBody Scan2は非常に興味深い、単なる体重測定をはるかに超えた先進スマート健康体重計である。体重計に乗ってハンドルを引くと、生体センサーが体組成を部位別に分析。正確な脂 肪量・筋肉量に加え、内臓脂肪や安静時カロリーといった代謝マーカーを提供、さらに心電図で心拍リズムを評価し、血管年齢から神経健康状態を推定する。スマホと同期し、長期的な傾向も追跡可能となっている。

Media Day初日の後半には、メディアのみが入れる出展ブースがあり、そこでもWithingsに話を聞いたが、様々なパラメーターを考慮して、有料サブスクリプション利用者は「Longevity Score」という健康指標の評価を得ることができるということである。

この点は非常に面白い。従来ウェルネス領域で大きな課題であった「結局、心拍数を図ってどうなるの?」という、生体センシングの壁を、大量データの収集・センサ精度向上・AI技術の発展によって、乗り越えようとしている。「健康スコア」というユーザーにとって価値ある指標を提示する、新しい価値提供へ踏み出そうとしているのである。

ほかにも、メンタルヘルス分野についても言及があった点にも触れておく。この分野も過去から期待されながら、簡単には拡大できていない認識であるが、比較的、対話型AIを用いた認知行動療法のアプローチの方が進んでいる印象である。

メンタルヘルス分野では、受動的追跡から積極的支援まで高度なソリューションが登場します。スタートアップ企業は主に、抑うつや不安の初期兆候を検知する技術によって牽引され、一方テックプラットフォームは対話型AIパターンを通じて認知行動療法を拡大中です。

3. Engineering Tomorrow:価値を生むシステム

この分野が最も漠然としていて、このキーワードだけではどういう分野か具体的なイメージがわきにくい。

具体的に触れられていたのは、「Driving the Future」ということで自動車のプラットフォーム化やパーソナライズ化の流れ、「SDVs Advanced Further」としてSDVの話のように、主に自動車におけるトレンドの話。











そして「Industrial Revolution」として、自律走行の建機や農業機械、「Forging the Food Chain」として、収穫ロボットや生産管理などの高度化、「Powering Tomorrow」として、家の電化や配電グリッドの高度化などが紹介されていた。


このセクションはややまとまりに欠けるが、電動化・AI化が進む中、単一部品にとどまらず、システムとしていかに高度な制御を行い、付加価値を生み出していくか、ということに焦点があたっているのだと理解した。

総じて「AIによる進化」が共通するテーマ、AIは活用して当たり前の時代に

上記はCTAが整理をしたCES2026全体のトレンドであるが、この2日間複数の企業のプレスカンファレンスに参加してきて感じるのは、総じて「AIを中心に置いた戦略」に関する言及が多い。

AIと言えば、ちょうどCES2024で生成AIが注目され、当時自動車の音声UIに生成AIが活用されるなど、関連する発表が目立ち始めたタイミングであった。このAIに関する流れは、CES2026では「生成AIに限らず、様々な形でAIを、自社プロダクトに当たり前のように活用しているトレンドの拡がり」が見られる。

CES2024当時はやや生成AIが強調されすぎた部分もあったようにも感じたが、生成AIというよりは、広くAI技術を活用した取り組みが披露されている点は、強調しておくべきだろう。おおよそのコンセプトは過去にも示されていることも多いが、実際に実装された形や豊富な事例としてAI活用が紹介されている点に、AIによる進化を感じるところである。

また、その中の1つの要素としてフィジカルAIも注目トレンドだ。様々な企業がロボットの実装や機器装置の自律制御、デジタルツインなどに取り組んでおり、CES2026の中でも新しい取り組みが登場することが想定される。

特にCES2026では、プレスカンファレンスで講演するモビリティ関係の企業の数が例年より少なく、個人的には欧米自動車OEMやTier1も、その存在感がやや薄く感じる。そのため尚更、AIの取り組みが目立つ。

本サイトでは、引き続きプレスカンファレンスやブースの様子を記事でレポートを行っていく予定である。

  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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