AIを活用して先端材料を開発するCambiumがシリーズBで1億ドルを調達
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Cambiumは、AIや化学情報学、高性能コンピューティングを活用して次世代の先端材料を設計・開発・製造する企業である。従来は数年単位だった材料開発をAIドリブンで加速し、冒険的なモノマーやポリマーを分子レベルで再設計する。
防衛、航空宇宙、モータースポーツ、エネルギーなど高性能用途向けに迅速な材料供給を可能にすることを目指している。自社製造体制とSHDの買収によるグローバル生産ネットワークも構築している。
同社はシリーズBで1億ドル(約100億円)の資金調達を実施した。このラウンドは8VCが主導し、MVP Ventures、Lockheed Martin Ventures、GSBackersなど複数の戦略的投資家やファミリーオフィスが参加した。調達資金は、製品パイプラインの強化と米国・欧州での材料製造能力の拡大に使われる。今回の大型調達はCambiumの先端材料の発見と量産スケールの加速戦略が評価されたものと考える。
高性能材料開発における手戻りを解決
先端材料の開発は、試行錯誤と長期検証を前提とするため、研究から量産までに数年を要することが一般的だった。特に航空宇宙や防衛など高性能用途では、材料特性の最適化と量産性の両立が難しく、開発スピードが製品競争力の制約となってきた。また、設計と製造が分断されていることで、スケール段階での手戻りやコスト増大も大きな課題となっている。
同社はAIや計算科学を活用し、分子設計段階から材料特性を予測・最適化することで、開発プロセス全体を高速化する。さらに、自社開発基盤と製造能力を統合することで、研究成果を迅速に量産へ移行できる体制を構築している。これにより、従来は時間を要した先端材料の発見からスケールまでを一気通貫で進め、高性能材料を迅速に市場へ供給することを可能にする。
AIを活用し先端材料の開発プロセスを高速化
同社技術の中核は、AIと計算科学を活用した材料設計プラットフォームにある。化学情報学や高性能計算を用い、分子構造と材料特性の関係をモデル化することで、材料候補を仮想空間上で設計・評価できる仕組みを構築している。実験データと計算結果を組み合わせることで、材料設計をデータ駆動型で進める点が特徴だ。
同社は材料設計にとどまらず、製造を前提とした設計最適化を行っている。材料の分子構造だけでなく、製造条件や工程特性を設計段階から考慮することで、量産時のばらつきを抑える設計手法を採用している。これにより、研究段階と製造段階を分断せず、一貫した設計思想のもとで材料開発を進めている。
さらに同社は、SHD Groupの買収によって獲得した高度複合材料の製造ノウハウとグローバル生産拠点を、自社の設計基盤と統合している。設計・試作・量産を連続的に回す体制を構築することで、設計結果を実製造へ反映する仕組みを整えている点が、同社技術の大きな特徴である。
研究開発を強化し、先端材料の発見スピードの向上を目指す
今回の資金調達を通じて、AIを活用した材料設計プラットフォームの高度化と、先端材料の発見スピード向上を最優先で進める方針だ。分子設計から評価までのデータ基盤を拡張し、より高性能かつ用途特化型の材料開発を可能にすることで、防衛、航空宇宙、エネルギーなど要求水準の高い分野への提供を強化する。研究開発力を中核に据えた差別化を一段と明確にしていく考えだ。
参考文献:
※1:Cambium Secures $100 Million Series B to Accelerate the Discovery and Scaling of Advanced Materials( リンク)
※2:同社HP( リンク)
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