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固体電池ベンチャーIlikaが電気自動車向けの開発とサンプル製造拡張のため、約32億円を調達

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英国の固体電池ベンチャーであるIlikaは、7月14日、機関投資家および個人投資家との株式の発行を通じて、総額2,100万ポンド(約32億円)の資金を調達したことを発表した。

今回調達した資金は、同社が開発を進めている電気自動車向け固体電池の開発に活用する。

実用化で先行しているのは医療用小型電池

Ilikaは医療用の小型固体電池と、自動車向けの大型固体電池を開発している。

実用化に向けて先行しているのは医療用の電池(Stereax)であり、現在、ユーザーサイドで無料の試用を行っている。体内に埋め込むペースメーカーの電池に使われることを想定している。

薄さは1mm未満で、形状や形状をカスタマイズできるだけでなく、積み重ねてエネルギーを増やすことも可能だ。最大10年使うことができる。電解質が固体であることから、有毒な電解質の漏れがなく、体内で使うことに対しての安全性は従来電池より高い。また、わずか数mm²の設置面積が可能であること、そして最大10〜20Cまでの充放電Cレートを備えており、急速な再充電を実現している。

EV向け大判電池の開発も加速

Ilikaは、Innovate UKとFaraday Battery Challengeからの助成金を受けて、EV向けの大判パウチ固体電池セル(Goliath)を2018年から開発している。

Whレベルの大判パウチセルの開発は、フィアットグループの産業オートメーションを手掛けるComauとも協力をしており、パウチセルの開発と並行して、製造スケールアップの作業も進めている。

同社は今後の技術ロードマップとして、2024年からMWh規模の生産施設で生産を行い、商業化を開始し、2025年以降で本格的に販売を行っていく計画を持っている。またGWh規模での生産は製造のためのJVや、2026年以降のライセンス供与を行う予定となっている。

今回調達した資金は主にこのGoliathに使われる予定であり、セル開発の加速、プレパイロットラインの容量を1kWhから10kWh/週へと10倍に増やすことや、2023年半ばまでのGoliath開発運転資金などに充てるという。


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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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