AIを活用して地熱資源発見技術を開発するザンスカールが1億1500万ドルを調達
AIを活用して地熱資源を探索する米スタートアップ Zanskar は、Series Cラウンドで 1億1500万ドルを調達した。ラウンドはSpring Lane Capitalが主導し、Union Square VenturesやLowercarbon Capitalなど既存投資家が参加した。これにより同社の累計調達額は約1.8億ドルとなる。
同社は機械学習と地球科学データを組み合わせ、地下の地熱資源を特定する探索技術を開発している。今回の資金は、AIベースの地熱探索プラットフォームの拡張や探査掘削の拡大、将来的な発電所開発に充てられる予定だ。同社は米国西部を中心に地熱開発を進めている。
AIが地熱資源探索の成功確率を引き上げる
地熱発電の普及を阻んできた要因の一つは、地下資源の探索リスクの高さにある。地下の高温水系は地表から直接確認できない場合も多く、従来の地熱開発では地質調査や地球物理探査を基に試掘を行い、掘削して初めて資源の有無が分かるケースが多かった。こうした不確実性が探索コストを押し上げ、開発拡大の障壁となってきた。
同社はこの課題に対し、地質データや重力・磁気データ、掘削履歴などの地球科学データを統合し、機械学習によって地下の地熱系の存在確率を予測する探索プラットフォームを開発している。こうした手法により、従来は発見が難しかった「ブラインド地熱」の特定が可能になるとされる。
実際に同社はネバダ州で、地表に温泉や蒸気などの兆候が見られないブラインド地熱を発見した。これは「Big Blind」と呼ばれる地熱地点で、米国で商業性が確認されたブラインド地熱として30年以上ぶりの発見とされる。
地球科学データと機械学習を組み合わせた地熱探索
同社技術の中核は、地球科学データ(地質情報や重力・磁気などの地球物理データ、既存の掘削データ)と機械学習を組み合わせた地熱資源探索プラットフォームにある。地熱資源の形成には、地下構造、断層分布、熱流量、水の循環など複数の地質条件が関与するため、従来は個別の地質調査を基に専門家の判断で有望地点を特定してきた。
同社は重力・磁気などの地球物理データ、地質情報、既存の掘削データなどを統合し、機械学習によって地下の地熱系が存在する確率を推定する。これにより広域の地質データから有望地点を絞り込み、探査掘削の効率化を図る。
こうしたデータ駆動型の探索手法により、従来は地表兆候が乏しく特定が難しかったブラインド地熱の発見可能性が高まるとされる。Zanskarはこの技術を基に、米国西部で地熱発電プロジェクトの開発を進めている。
米国西部で既にいくつかの地熱資源を発見
地熱発電は24時間稼働できる安定電源として注目されている一方、地下資源の探索リスクが開発拡大の制約となってきた。地下構造を事前に把握することが難しく、試掘に依存する従来の開発手法ではコストや投資リスクが大きかった。
同社はAIと地球科学データを組み合わせることで、こうした探索リスクの低減を目指している。同社CEOのCarl Hoilandは、AIによって「複数の未知の地熱資源を米国西部で確認した」と述べ、従来想定よりも大きな発電ポテンシャルが存在する可能性を指摘している。
同氏はさらに、こうした技術によって地熱は「テラワット規模の機会」になり得るとも述べる。地下資源は不足しているのではなく、まだ十分に発見されていないだけだという認識が広がれば、AIを活用した資源探索が地熱開発拡大の鍵となる可能性がある。
参考文献:
※1:Zanskar raises $115M Series C Following Record-Setting Year of Geothermal Discoveries( リンク)
※2:Finding and Proving Up 'Big Blind'; Zanskar's Third Deep Discovery Within the Last Year( リンク)
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