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量子ベンチマーク技術を開発するXanadu、DARPAから最大1,500万ドルの資金支援を獲得

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Xanaduはカナダの量子コンピューティング企業であり、量子プロセッサの性能を正確に測定するベンチマーキング技術の開発を進めている。量子ハードウェアの動作特性を定量化し、実用レベルの量子計算に必要な指標を確立することを目指す。性能評価とアルゴリズム開発を一体で進め、量子計算の信頼性向上に取り組んでいる。

同社はDARPAの量子ベンチマーキング計画でステージBに選ばれ、最大1500万ドルの資金支援を受ける資格を得た。このプログラムは量子計算の性能指標を確立する取り組みであり、Xanaduはその中核技術を担う役割を評価された形である。資金はベンチマーク手法の高度化と実装の強化に充てられる。

量子コンピュータの性能を正しく比べるための評価基準づくり

量子コンピューティングでは、性能を示す共通指標が確立されていないことが課題となっている。装置ごとの能力やノイズの影響を同じ基準で評価できず、比較や改良の方向性が不明瞭になりやすい。研究成果やハードウェア性能を示す尺度が統一されていないため、技術進歩がどの程度進んでいるのかを外部に示しにくい状況も続いている。

この課題に対し、同社は量子計算の性能を客観的に測定するベンチマーキング手法の整備を進めている。エラー特性や計算能力を同一基準で評価できる枠組みを構築することで、装置間の比較や改良点の把握を容易にし、量子ハードウェアの進展を分かりやすく示す環境を整える狙いである。


量子計算の誤差・忠実度・処理性能を共通指標で測る評価メカニズム

同社が取り組むベンチマーキング技術は、量子プロセッサの性能を客観的かつ再現性のある方法で測定する枠組みである。これにより、異なる量子ハードウェアを公平に比較でき、どの装置がどのような性能を持つかを明確に示すことを可能とする。

具体的には、量子計算における「エラー率」「ノイズ耐性」「量子状態の忠実度」「処理速度」といった複数指標を統一的に定義し、それらを測定するためのベンチマーク回路群や評価プロトコルを設計・実装するというアプローチを取る。これにより、理論値だけでなく、実運用時の性能を可視化できる。

さらに、この評価基盤は、量子ハードウェアの改良や量子アルゴリズムの最適化にも活用可能である。ベンチマーク結果をもとにハードウェアの強み・弱みを把握し、それに応じた設計改善や誤差補正技術の導入を促進することで、量子コンピューティングの実用化への道を整える目的がある。


量子性能評価の標準化に向けた実装強化と検証体制の拡大

同社は今後、DARPAとの協調でベンチマーキング手法の実装と検証を本格化させる。ベンチマーク回路と評価プロトコルの整備を進め、量子ハードウェアのノイズ、誤差、性能を定量的に測定する体制を構築することで、装置の信頼性と透明性を高める。

さらに、多様な量子プロセッサを対象にベンチマークを実施し、結果を公開することで、量子ハードウェア間の比較可能性を確立する。これにより、研究者・企業・エンドユーザーが共通の基準で量子性能を評価できる環境の整備を目指す。


参考文献:
※1:Xanadu Advances to Stage B of DARPA’s Quantum Benchmarking Initiative, Securing up to $15 Million in Fundingリンク



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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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