遠隔ケアプラットフォームを提供する米Sword Healthがデジタル治療DTx企業の独Kaia Healthを2億8500万ドルで買収
米国のデジタルヘルス企業 Sword Health は、ドイツ発のデジタル治療(DTx)企業 Kaia Health を 約2億8,500万ドル($285M) で買収したと発表した。今回の取引により、Kaia Health のプロダクトおよびチームは Sword Health に統合される。
Sword Health は、AIを活用した遠隔ケアプラットフォームを提供する企業で、筋骨格系(MSK)ケアを中核に、メンタルヘルスや女性ヘルスなど複数領域へ事業を展開している。AIによる治療最適化と臨床チームを組み合わせた「AI Care」モデルを特徴とし、主に米国市場で企業・保険者向けにサービスを提供してきた。
一方の Kaia Health は、ドイツを拠点とするデジタル治療企業で、MSKおよび呼吸器疾患領域のDTxを提供している。スマートフォンアプリを基盤としたソフトウェア中心の治療設計を採用しており、特にドイツのデジタルヘルス償還制度(DiGA)下での展開実績を持つ点が特徴だ。
米欧1億人規模への展開を見据えたM&A
本件の取引規模は約2億8,500万ドルとされており、Sword Health は買収により事業展開の対象人口を米国・欧州合算で約1億人規模まで拡大するとしている。公式発表では、地理的拡張と提供スケールの拡大が強調されている。
地域別に見ると、特にドイツ市場での位置づけが明確だ。Kaia Health が展開してきたデジタルヘルス償還制度(DiGA)下の運用基盤により、7,000万人超をカバーする制度ルートが統合されるとされている。これは、Swordにとって欧州の医療制度下での展開を支える基盤となる。
また米国市場では、KaiaのMSK向けソリューションはSwordのMSKプロダクトへ段階的に置き換えられ、既存ユーザーはSwordのAI Careプラットフォームへ移行する方針が示されている。Swordはあわせて、自社の運用規模として1,000社超の導入企業数や1,000万回以上のAIセッション実績を提示している。
AIケア基盤を中心とした技術統合
Sword Health の中核は、患者データを基にケア内容を最適化する「AI Care」プラットフォームにある。モーションセンサーやアプリから取得される運動データをAIが解析し、運動内容や介入強度を調整する仕組みを採用しており、遠隔環境下での継続的なMSKケアを可能としている。
同プラットフォームは、AIによる介入設計と進捗管理を軸に、理学療法士等の臨床チームがフォローする構造。MSK領域を起点に、同一のAI基盤を用いて複数のケア領域へ展開されている点が特徴だ。
一方、Kaia Health はスマートフォンアプリを基盤としたデジタル治療(DTx)を提供してきた。MSKおよび呼吸器疾患領域に特化した治療プログラムをアプリ上で提供し、運動療法や教育コンテンツを組み合わせた疾患特化型の設計を採用している。
今回の統合では、Kaiaが構築してきたDTxプロダクトや治療設計、臨床データが Sword の AI Care プラットフォームに組み込まれる。米国では Sword のMSKプロダクトに集約される一方、Kaiaの疾患特化型ロジックはプラットフォーム全体に反映される構造となる。
欧米での展開を推進
Sword Health は、買収後の事業運営について、市場ごとに異なる運用方針を取ることを明らかにしている。米国では、Kaiaが提供してきたMSK関連サービスを Sword のプロダクトに統合し、AI Care プラットフォームへの集約を進める。
一方、欧州市場では、Kaiaが築いてきたデジタルヘルス償還制度(DiGA)下での事業運用を継続する方針が示されている。Swordは、欧州においては制度対応を前提としたDTx展開を維持しつつ、事業を進めていく構えだ。
参考文献:
※1:Sword Health acquires Kaia Health expanding reach to 100M people( リンク)
※2:Kaia Health Joins Sword Health( リンク)
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