フリート管理スタートアップのStandard Fleet、シリーズAで1,300万ドル調達

米Standard Fleet は、ハードウェア不要で混在フリートを管理できるクラウドプラットフォームを開発するスタートアップ。同社のソリューションは、EV・ハイブリッド・内燃機関車を問わず、車両APIを介して位置情報や稼働状況を取得し、ダッシュボードで一元管理できる。デジタルキー機能により、物理鍵なしで車両のアクセス権を発行・取り消しでき、レンタルフリートやカーシェア、保険会社、企業・政府フリートなど多様な業界で運用効率化を支援する。
2025年9月10日、同社はNova ThresholdがリードしたシリーズAラウンドで1,300万ドルを調達。WEX Venture Capital、SNR、Garry Tan(Y Combinator CEO)、Salil Deshpande(Uncorrelated Ventures)、Apoorv Bhargava(WeaveGrid 創業者)らも参加した。
EVもガソリン車もまとめて管理する新しい仕組み
車両を多く持つ企業では、請求処理や鍵の受け渡し、車両の所在確認など日常業務に多くの手間がかかり、入金遅延や鍵紛失、探し回る時間などが運用コストと負担を増大させていた。特に広い敷地を持つ修理工場やディーラーでは、車両の場所や状態確認に時間を取られることが大きな課題だった。
同社は、請求と支払いを自動化し、デジタルキーとモバイルアプリで物理鍵に依存しないアクセス管理を実現。さらに、車両の位置やバッテリー残量をリアルタイムで可視化し、探す・確認する作業を大幅に効率化する。これによりレンタル、カーシェア、修理工場など、多数の車両を扱う現場の運営負担を軽減している。
なお、出資者にWeaveGridのCEOがいることも大変興味深い。WeaveGridはEV充電ソフトウェアを提供するスタートアップで、2024年12月にトヨタのWoven Capitalから出資を受けている。現状は会社としての出資ではなく、CEO個人としてのエンジェル投資のようであるが、シナジーがある領域なのだろう。
追加ハードウェア不要でフリート管理を実現
同社のフリート管理プラットフォームは、追加ハードウェア不要で導入できることが大きな特徴だ。車両メーカーの公式APIとクラウドを連携させることで、位置、走行距離、燃料やバッテリー残量、故障コードなどをリアルタイムに取得する。
データは独自の統合レイヤーで処理され、メーカーや車種の違いを吸収して共通フォーマットに変換。統合ダッシュボードや共通APIを通じて、管理者はブラウザやモバイルアプリから全車両の稼働状況を即座に把握でき、ジオフェンスや通知機能で盗難防止や不正利用の早期発見にも対応する。
さらに、車両のデジタルキー機能とクラウド認証を組み合わせたアクセス管理により、ユーザーや有効期限を設定して鍵を発行。Bluetooth対応で通信圏外でも解錠でき、操作ログはオンライン復帰時にクラウドへ同期される。課金処理は車両データをリアルタイムに計算し、請求書発行や入金管理を自動化、未払い時には車両利用の遠隔制限も可能だ。
EV向けにはバッテリー監視と充電スケジュール最適化機能を備え、充電切れやコスト増を防ぐ。全体はマイクロサービス構成で設計され、機能追加や新車種対応もソフトウェア更新で迅速に反映でき、エンタープライズ規模にも対応可能なスケーラビリティと高い稼働率を実現している。
今後はMixed‐fleet対応を加速、オペレーション体制やユーザーの管理体験の改善にも注力
同社は今回の資金調達により、プロダクトの実運用レベルへの移行を一気に加速させる構えだ。現在のデジタルキー機能の拡張に加え、調達資金は Mixed‐fleet(さまざまなタイプの車両が混在する車両群)への対応を強化するために使われる。標準装備された接続性を持つ車両を含め、従来型のテレマティクスデバイスに依存していた車両群にも対応することで、すべての車両がプラットフォームに無理なく統合可能になる。
また、製品だけでなくオペレーション体制やユーザーの管理体験の改善にもフォーカスされている。「キー管理」に費やされる数千時間を削減し、アクセス制御・認証・監査ログといった機能をより直感的かつ安全に使えるよう改善を進めるとのこと。さらに、EV(電動車)を含む車両の普及を背景に、充電関連データやバッテリー状態のモニタリング、全車種混在フリートでの効率的な運用基盤を整備する計画が明らかになっている。
投資家側からも支持は強く、Nova Threshold をはじめとする参加者は、Standard Fleet が「ハードウェア不要の車両アクセス制御とテレマティクス、決済機能を一体化することで、運用プロセスを根本から変える可能性がある」と評価している。特に EV 化・コネクテッド車両の増加というトレンドの中で、Standard Fleet のソリューションは「時宜を得たインフラ」とみなされており、今後の市場成長を牽引する存在と見込まれている。
参考文献:
※1:Standard Fleet secures $13M Series A to power mixed-fleet connectivity, launches expanded digital key platform( リンク)
※2:同社公式HP(リンク)
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