BCIを用いた網膜インプラントを開発するScience Corporationが約2.3億ドルを調達、商用化を加速
米Science Corporationは、BCI技術を用いた神経インプラントを開発するスタートアップである。CEOはNeuralinkの共同創業者Max Hodak。同社は視覚回復を目的とする網膜インプラント「PRIMA」を開発しており、外部カメラの映像を電気信号に変換し、網膜に埋め込んだチップを通じて神経を刺激することで視覚情報を脳に伝達する仕組みを採用する。
同社は今回、Series Cラウンドで約2.3億ドルを調達した。投資家にはKhosla Ventures、Lightspeed Venture Partners、Y Combinatorなどが参加。資金はPRIMAの臨床試験拡大や製造体制の整備など、商用化に向けた開発の加速に充てられる予定である。
視覚回復インプラントで進むBCIの医療機器化
同社はこれまで、視覚回復を目的とする網膜インプラント「PRIMA」を中心にBCI技術の開発を進めてきた企業である。弊社でも過去記事において、Neuralink共同創業者Max Hodakが率いるBCIスタートアップとして、視覚回復インプラントの開発動向を紹介している。
BCIはこれまで、思考入力や人間拡張といった未来技術として語られることが多かった。一方で近年は、麻痺や感覚障害など神経機能の回復を目的とする医療デバイスとして臨床応用が進みつつある。
今回の資金調達は、BCI開発が研究段階から臨床・商用化フェーズへ移行しつつあることを示すものといえる。特に視覚回復はBCIの初期応用として期待される分野であり、神経インプラントの実用化に向けた動きが加速している。
外部カメラと網膜チップで視覚信号を再構成
同社が開発する「PRIMA」は、視覚回復を目的とした網膜インプラント型のBCIデバイスである。システムは主に、網膜に埋め込むマイクロチップと外部カメラ・処理装置で構成される。カメラで取得した映像は外部装置で電気刺激パターンに変換され、網膜に埋め込まれたチップへワイヤレスで送信される。チップはその信号をもとに網膜の神経細胞を刺激し、視覚情報を脳へ伝達する。
対象となるのは主に加齢黄斑変性(AMD)やStargardt病などの網膜変性疾患である。これらの疾患では光を受容する細胞が機能を失う一方、網膜の神経回路の一部は残存している場合がある。PRIMAはその残存する神経回路を電気刺激によって活用することで、視覚情報の再構成を試みるアプローチを採用している。
またPRIMAは、網膜に埋め込むフォトダイオードアレイ型のチップを用いる点が特徴である。外部装置から投影される近赤外光を電気信号に変換し、局所的な刺激として網膜へ伝える仕組みで、従来の網膜インプラントより高解像度の視覚再現を目指している。
PRIMAの商用化とBCI医療応用の拡大
今回調達した資金は、BCI網膜インプラント「PRIMA」の商用化と臨床開発の加速に充てられる。同社は欧州での商用展開を視野に入れており、実現すれば視覚回復を目的とするBCIデバイスとして市場投入される可能性がある。
CEOのMax Hodakは、脳を「情報処理システムとして直接扱うこと」によって、従来の医療では得られなかった治療アプローチが可能になると述べている。同社はPRIMAを起点に、神経インターフェース技術の臨床応用を拡大していく方針だ。
参考文献:
※1:Science Closes $230 Million Series C to Fund Commercialization of PRIMA BCI Retinal Implant and Expansion of Clinical Trials( リンク)
※2:米Science Corporationが転換社債で149億円を調達?複数メディアが「Neuralinkのライバル」と報道する神経科学スタートアップ( リンク)
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